表に戻った時ララ達が見たのは、ルフィとサンジの無事な姿とギンが血を吐く姿だった。
「サンジ!!?」
「うおっ!! あの下っ端野郎毒ガス食らいやがったんだ!!」
ギンを抱えたサンジがララに叫ぶ。
「ララ!! 解毒剤あったろ!!」
「うん!!」
ララは急いで持ってこようとするが、その前にゼフに止められた。
「バカ野郎、すぐそいつにマスクを当てろ。多少なり助剤を含んでるはずだ。2階へ運んで呼吸させるんだ。助かる見込みがあるとすりゃまずそれだけだ」
「ジジイ…早くしろよパティ!!! カルネ!!!」
「わ!! わかったよ! うるせェな!!」
「おれもかよ」
二人はギンを運びだす。ララはゼフとサンジとともに、ルフィとクリークの戦いを見守ることにした。
「撃ちたきゃ好きなだけ撃ってみろ!!!」
クリークのもとへルフィは駆けていく。
「貴様にとって海は地獄!! 飛べば槍の格好の餌食!!! 『ヒレ』から先はてめェの墓場だ!!!」
「おれの墓場!?」
爆弾がばらまかれ、海が大きな波を起こす。その間にクリークは盾から槍を何本も放った。
「くらった!!」
ルフィは腕に槍をくらっていた。しかし何もなかったかのように、クリークへ走り出す。ルフィは海を撃ち高波を立てると後ろへ大きく腕を伸ばした。
「どうあってもおれを殴りてェ様だな!! この剣山マントに手を出してみろ!!!」
クリークは針が多くついたマントを体に広げた。
「クク、手も足も出まい、この…」
「ゴムゴムの…”ブレッド”っ!!!」
ドゴっとマント越しにクリークの顔が殴られる。クリークは倒れた。
「……な……何て野郎だ…!!」
「うわあああああ!! ドン・クリークがぶっ飛ばされたァ!!!」
ルフィはボタボタと血が流れ落ちる手で、自分の腕に刺さった槍を引き抜きながら言う。
「ここは果たしておれの墓場か…お前の墓場か…おれの墓場か…お前の墓場か……だろ!!! たかが槍とか針のマントくらいでおれの墓場って決めるな…!! ここはおれの死に場所じゃねェ!!!」
ゼフが松葉杖をつきながらサンジのもとに歩き出す。ララもそれにならった。
「無茶苦茶だぜ、あの野郎」
「あいつをよく見とけ、サンジ…」
「……?」
「たまにいるんだ、標的を決めたら死ぬまで戦うことをやめねェバカが…」
「戦うことを…」
「ああいうのを敵に回すと厄介なモンだぜ…この勝負、勝つにせよ、負けるにせよ、おれはああいう奴が好きだがね…」
「ここがてめェの……」
クリークが起き上がり始めた。
「死に場所じゃなけりゃ、一体…誰の死に場所だアアア!!!」
大きな盾でルフィをはり付けると何かを放った。しかしルフィはすぐに盾から離れ、後ろからクリークの顔を蹴った。
「お前のだよ!!!」
またクリークが倒される。起き上がったクリークは、両手の盾を合わせ、甲板を折った。同時に爆発が起きる。クリークの盾には刃物と長い棒が付き、槍のようになっていた。
「どこまで逃げ切れるか見物だな…カナヅチ小僧…2,3発くらっても立ってられるような、さっきまでのチンケな槍とは訳が違うぜ。触れれば即木端微塵だ!!!!」
柱にしがみついているルフィへ槍が振りかぶられる。ルフィは逃げ、海に落ちる前に割られた甲板の一つに腕を伸ばした。
「何だよあの槍!! 打ち込む度に爆発すんのか…!?」
着地すると同時にルフィはがくんと膝をつく。
「あ?」
「! 長期戦はマズいな…血を流しすぎてる…!!」
「くそォ…こんな”飛び島”じゃフルに力だせねェや」
弱音を吐くルフィに、容赦なく槍が襲う。それを避けると同時に、ルフィは槍の棒のところに掴まった。
「ふー、あぶねェ…」
「!? この…イモムシ野郎がァ!!!!」
クリークが槍を振るが、ルフィはぱっと槍から離れ、再び向かってきた槍の刃を両手でつかんだ。同時にドンっと爆発が起き、ルフィは倒れた。
「このおれを怒らせたんだ、原型とどめちゃおかねェぞ!!!」
また爆発が起き、ルフィは甲板に倒れた。
「ルフィくん!!!」
「雑用……!!!」
ルフィは起き上がった。ドシンと勢いよく足で甲板を踏み、その反動で槍の刃がぼろぼろと崩れた。
「な…”大戦槍”が…!!! 貴様!! 何をしやがった!!」
ルフィはにっと笑った。
「5発パンチ入れてやった……!! 覚悟しろよ!!! この広さならお前をぶっ飛ばせる!!!」
20180126
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