ケータイ世代2




「ん…?」



カメラのシャッターの音で目が覚めた。



「あ、悠太起きちゃった」
「…何やってんの?」
「悠太の寝顔を写メってました」
「……」



視界に入ったのは、ケータイを持った祐希とピカピカ光ってるケータイ。
たぶんまだ撮影モードなんだろう。
暗い部屋の中で眩しいんですけど。



「…今何時」
「午前2時」
「朝起こさないからね」



祐希に背中を向けて布団を被る。
ごめんってばねー悠太ー、とか声が聞こえてくるけどムシ。
そしたら、祐希は布団の中に入ってきた。



「お兄ちゃん本気で怒るよ?」
「ごめんなさい」



いつもと違ってしおらしく誤ってくる祐希。
ちょっと調子が狂う。抱きついてもこないし。
そこで「何でそんなことしてたの?」って普段より優しめの声で聞いちゃうのがオレのダメなとこだと思う。
だから要に怒られるんだよね。


「千鶴が欲しいって言ってたから…」
「千鶴?」



祐希の話を聞くと、こういうわけだった。



『ねーねー、ゆうたんとゆっきーって同じ部屋で寝てんの?』



昨日いつものように席でアニメージャを読んでいた祐希に千鶴は話しかけてきた。



『寝てるけど…二段ベッドだし』
『おっ!じゃあいけるな!』



千鶴は祐希の返事に顔をきらきら輝かせ、次の瞬間には土下座しそうな勢いで頭を下げて言った。



『お願いします!ゆうたんの寝顔写メってきてください!』
『は?』
『いやぁ女の子に頼まれちゃってさぁ』
『何で悠太の寝顔…』
『ホラ、ゆうたんってばまじめっ子だから授業中寝ないじゃん?』
『あー…まぁそうかもねぇ…』
『で、見てみたいって頼まれまして』
『起きてる顔で十分じゃないすか…悠太かっこいいんだから』
『かーっ!わかってねーなゆっきー!起きてる顔がかっこいいから寝顔が気になるんだろが!』
『そういうもん…?』
『なんだよゆっきー自分が起きてりゃかっこよくて寝てりゃ綺麗だからって!
 休み時間に寝てるとき周りの女子から浅羽くん美人ーとかなんとか言われてても別にうらやましくなんか…ッ』
『千鶴さん涙が…』
『うるせーっ!!』


「…とまぁだんだん論点のズレてきた千鶴さんに流されました」
「…さようで」



それならそうと言ってくれれば怒らなかったかもしれないのに、って言ったらごめんねって一言。
別に怒ってはいないけど。
今日の祐希はなぜかすごい素直だ。



「ここで寝ていい?」
「しょうがないな…」



そんな祐希に流されて甘やかしちゃうのもオレのダメなとこだと思う。
だから要に怒られるんだよね。
朝だって結局起こしてあげちゃったし。
それは祐希に起きてもらわないとオレが布団から出られなかったからなんだけど。










「ゆうたんお願いします!寝顔写メらせてください!」
「…は?」



それで話は終わりかと思った。
そしたら昼休みに屋上で千鶴に土下座された。



「あれ、でもそれなら祐希が…」
「ゆっきーくれないんだよー…」
「よく考えたらその写メたち女子に回されるかもしれないしね。悠太の寝顔を待ち受けにされたら嫌ですからね」
「それはやだな…ん?写メたちって…何枚撮ったの?」
「31枚撮り終わったとこで悠太起きたね」
「……」
「ねー!ゆうたん頼むよ!」
「うーん…」

「ご想像にお任せしますって言っといて」





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高校時代クラスにイケメン(死語…?)で授業中は天使の寝顔(笑)な男子がいました
浅羽ツインズは寝顔が美しそう…
ていうかわたしケータイネタが好きらしいですね(笑


2011.05.07

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