白い日




朝起きたら10時を過ぎていた。
いつもなら悠太が起こしてくれるのに。
何で今日は起こしてくれなかったの。拗ねてやる。

そう思って起きていったら、悠太がお菓子を作ってた。



「あ、おはよう祐希」
「悠太何してるの…?」
「お菓子作ってました」
「何で」
「ほら明日ホワイトデーでしょ?」


納得。今日は3月13日の日曜日。なるほど。


「悠太くんはわざわざオレのために作ってくれてたんだね」
「は?違うよ。むしろオレもらう側でしょ。
先月あげたんだから」
「そこまではっきり言われると傷つく…ん?じゃあ誰の分?」
「クラスの分」


先月悠太のクラスでは女子から男子へお菓子をあげてたから、そのお返しらしい。


「誰かが手作りしようって言いだして」
「へぇ…」
「で、2人1組で4人分作るのです」
「へぇ」
「ちなみにオレは春とペアね」


春曰く、「クッキーとかどうですか?お菓子は初めてでも悠太くん料理上手ですから大丈夫ですよ」だそうで。
クッキーの生地をこねる悠太はなかなか新鮮だ。


「そうだ、祐希も作んない?」
「えー?高橋さんの分?」
「いや別にそんなピンポイントじゃないけど…」
「めんどくさいし…」
「じゃあオレの分作ってよ」
「……」


そんなこと言われたら断れない。ずるい悠太。


「何すればいいの?」
「じゃあこれで型抜いてよ」
「ん」


春から借りたというクッキー型は人の形と、星と、それからハート。


「悠太これ使って」
「え?あぁ、うん」


悠太に星と人を押し付けた。
悠太がハート型に抜いたクッキーを女子が食べるとか耐えらんないし。
悠太はオレの愛だけ食べてればいいんです。だからハート型はオレが使うからね。


「祐希上手いね」
「上手いも何も型抜くだけじゃん」
「まぁね」


あっという間に綺麗に型抜きされた生地が並んだ。


「あ、悠太場所変わって」
「え?」
「オーブンセットするから」


悠太に任せたらオーブンを壊しかねない。
まったく、だいたいのことは器用にできるのに、機械はダメなんだよね、悠太って。
オレもオーブン使うの初めてだけど、悠太よりは頼りになるよ。いやホントに。


「あとは焼きあがるのを待つだけだね」
「うん」
「ちょっと祐希、作るだけじゃなくて片付けもやってよ」
「あぁ、うん」
「うんって言っといて何やってんの」
「悠太くんにパワー送ってます」


ボウルを洗う悠太の後ろから抱きつく。
ぎゅー。パワー注入。オレに。


「ちょっと祐希…」
「食べたいです」
「まだしばらく焼けないよ」
「クッキーより悠太が食べたいです」
「バカなこと言ってないで早く片付けてください」


バカじゃないよ。悠太ってばひどい。
さっきから悠太の首元が気になって仕方ない。
誘ってるとしか思えない。悠太が悪いよ。
そう言い訳してオレは悠太の首筋に噛み付いた。




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浅羽ツインズがお菓子作ってる夢見ました、2年くらい前に
去年はタイミング逃してあげられなかったので今年こそは…!と思ってなんとか間に合った…!
ようやく日の目を見ることができました

2013.03.14


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