無題



始まりは何となくで、君の声も知らなくて。



「なんか外騒がしいな…」
「あー、あれじゃね?」


自習中に外から黄色い声が聞こえた。
クラスメイトの佐藤の指の先を見ると、リフティングをしている男子が2人。


「黄瀬すげーよなー。顔良くて運動もできるとか…」
「黄瀬?」
「え、お前知らねーの?モデルの黄瀬涼太」
「知らねー」
「…まじか」
「オレバスケ以外興味ねーもん」
「そういう奴だよな、お前は…」


そんなすげー奴いたのか、この学校に。
どんな奴なんだ。

外にいる黄瀬を見る。
なるほど、確かに顔整ってんな。遠くからでもわかる。
それにあの金髪。あんな派手だったらどこにいてもわかるな。
まー今更驚かねーけど。バスケ部頭カラフルだし。
黄瀬がシュートを決めると歓声が上がった。
(なんか声が近いと思ったらクラスの女子の大半が窓際に集まってた)


「ほれ」
「ん?何だよ」
「黄瀬が表紙の雑誌。顔くらいみたことあるだろ?」


女子から借りたという雑誌を差し出す佐藤。
女子の好きそうな顔だな。けど、何か嘘くさい。
それが第一印象だった。


「(ん…?あれって…)」


その日の放課後。
噂の黄瀬を見つけた。
整った顔。輝く金髪。
間近でみると、ホントにモデルなんだなって思った。けど。


「(気に入らねぇな…)」


何もかもつまんねーって顔。
なんかイライラしたから頭にボールぶつけてやった。


その後、何を思ったのか黄瀬はバスケ部に入部した。
しかもオレに憧れて入ったとか言いやがった。
…まぁ悪い気はしねぇけど…


黄瀬が入部してわかったことがある。
黄瀬は意外と表情豊かだ。
雑誌の表紙のような作り物の笑顔は、バスケをしている時は見ない。
シュートが決まれば心底嬉しそうな顔をするし、止められれば悔しそうな顔。


「青峰っち!」


1on1するッスよ!
ボールを持って走ってくる黄瀬。
オレを見つけては1on1をしようと駆けてくる黄瀬は犬みたいだ。


認めたくはねーけど、少しずつ、少しずつ、
オレの生活は黄瀬が中心になりつつある。


黄瀬との1on1は楽しいし、ずっとしていたいと思う。
笑った顔が見たいし、悔しがる顔も好きだ。
もっといろんな顔が見てみたい。


認めたくないだけで、本当は気付いてる。
この気持ちは何なのか。
悔しいからまだ言ってやらねーけど。




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青黄っていうと青←黄なイメージがあるけど、
青峰くんから始まってみるのもいいと思う
黄瀬くんお誕生日おめでとう(^^)

2013.06.18


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