Highway Child
date.01/PM

世の中には最新の医学をもってしてでも解明できないことがまだまだ沢山あるらしい。
どうやら小さくなってしまったらしい津森。
幸いにも、目の前でその瞬間を後輩が一緒に見たのだから、野分は津森がちゃんと自分の先輩だということは認識されている筈だ。
その原因理由は全く不明であるが。

ただ…。

「あーっ!草間先生!津森先生見かけませんでした?明日オフだからってさっさと帰っちゃってもー」

「な、何か大事なご用事だったんですか?」

「いえいえ。そんな緊急性のある仕事の話ではないんですよ。…ちょっと野暮用で」

看護師は気づかない。とりあえず野分の後ろに隠れてはみたものの、ちょこっと顔を出して様子を伺うその人物が当の津森だということに。

「ところで草間先生」

「は、はい?」

看護師はやっと気づいたかのように、津森に目を向けて言った。

「この子見かけない顔ですね。ウチの病棟の子…ではないかな?」

「ああ、…その、俺の…草間園で預かっている子で…」

「そうですかー。職場体験?だから白衣着てるのねー」

看護師は勝手にそう解釈すると津森の頭をひと撫でし、ニコニコと笑って去っていった。

一体なんの冗談か。

津森は改めて自分の身体をまじまじと見つめて思う。
ダボダボの白衣。
裾の余ったジンズ。

俺、まじで小さくなっちゃったわけ?

とりあえずゾビゾビの服のままでは歩けないので野分に職員ロッカーへと運んでもらい、ついでに小児用の服を着せてもらいながら津森は野分と暫し思案する。

「先輩どうしましょう。俺これから夜勤入りますし…」

「コレ、いつ戻るかわかんねーし。ここにずっと隠れてる、って訳にもな…」

他にもロッカーを使う職員は来る。間違いなく、今度はバレたら摘まみ出されるだろう。

とりあえず病棟の廊下には出てみたものの、ここの子ども達からは明らかに浮いてしまう。

「せんぱい、一人で帰れます?」

いや、流石にそれはどうだろうと唸っていると、廊下の通路に野分と津森の知った顔が一つ。
今日も律儀に着替えを運んできたのだろう。
野分が誰より大切にしている人、上條の姿。

それを見た津森は何故かニヤッと笑うと、すかさず野分にしがみついた。

ついでに一言。
 

「ぱぱー」

途端ぎょっとなってあからさまに上條が動揺するのがみてとれた。


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