Highway Child
date.01/AM

「津森せんせい、お疲れ様ですー」
「おーお先ー。お疲れー」

看護師に労われ行き交う廊下。
身体はシンドイが、心は晴れやか。
だって明日は待望の完全オフなんだもん★

そんな少し浮き足立つ気持ちを押さえながら、このK医科大学附属病院に勤務する津森は本日の引き継ぎを無事終え、今まさに帰路に着こうとしたその時だった。
ひらひらと挨拶を交わし、廊下の角を曲がり切る前にドシンと黒い影にぶつかる。

「おー痛…おいおい野分、廊下は静かに走れってあれほど婦長が…」

相手は見ずとも分かる。これだけ長身な人物はそうそういないのだから。
そんな人物とまともにぶつかり、腰を床に強か打ち付けた津森は、やれやれと起き上がる。

あれ?見上げた野分が心なしか、なんかめきめき大きくなった気がする。

さては野分め、また背が伸びたな。全く、コレ以上ノッポさんになってどうするんだか。ますます院内でモテモテになって困ってます。って上條さんに言いつけちゃうぞー★

「せ、せんぱい」

暫くそのままの姿勢でのんびりそんな事を考えていたら、野分がいかにもアワアワと動揺した様子で津森を抱き上げた。

あれ?

それもひょいっと。いとも簡単に。

津森は思う。

んー?こ、これはっ…!俗に言う、当小児病棟名物「このーきなんのき?野分ー!!」ってヤツか?!

つーかセンパイを持ち上げようなんざ、全くいい度胸してんな野分。

「せんぱい」

口をパクパクさせて野分は言う。

 

「せんぱい、ちいさくなっちゃいました。どうしましょう」

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