むかし、むかし、
とある国の王室には、跡継ぎの男子が生まれない呪いがありました。
確率的に生まれること自体が少なく、稀に生まれたとしても何かしらしがらみがあり、とても世継として送り出すことができないのです。
ですから、王室で男子が生まれると直属の王族からは外され、城の奥深くに幽閉され世間からはその存在すらも知られないようひっそりと生涯を過ごすのでした。


『―もし自分がそんな立場にあって、仮にも誰かを好きになってしまったらどうだろうね』
『そんなの、そんなの決まってる。
俺だったら・・・』



とある町に二人の青年がいました。
二人の名前はヒロキとアキヒコ。
二人は幼なじみで、大変仲が良く、二人連れ添って歩けば町中の誰もが振り返らずにはいられないほど美しい容姿をしていました。


今日も二人は一緒。ただ、いつもと違うのは、アキヒコの表情が今一つ優れないことでした。
もともとアキヒコは表情一つ変えることのない人形のような青年で、誰もその内情を窺い知れないはずだったのですが、隣を歩くヒロキの様子を見れば一目瞭然。
誰よりも大切な彼を想っての表情かよく分かります。
そのくらい逆にヒロキは感情をよく顔に出す青年でした。





-------< この国のノワキは、ややこしい/続く>
(6.13up)

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