独占欲
「ちょっとみょうじ、あんたの彼氏可愛らしい女の子に告られてるわよ」
「は?」
今日も五色とお昼を食べようと思ったが、「呼びだしくらった」とどこかへ行ってしまった。仕方なく友達に混ぜてもらった。(いつもは付き合い悪気くせにとニヤニヤ笑いながら混ぜてもらった。ありがたい。)
「こんな見えるところで告白とかやるう」
窓際にいる友達はひゅうっと口笛を吹いた。私はお弁当を食べ続ける。
「見ないの?気にならない?」
「別に、あいつ私一筋だから」
「のろけるねー」
友達は半目でにやけながら言う。友達は五色のことが野次馬根性で気になるようで窓の外を眺めた。
「あ、五色くん抱きつかれた」
「は!?」
その言葉に反応して窓に身を乗り出す。すると可愛らしい女の子に抱きつかれてる五色がいた。五色は慌てたようにすぐに女の子を引き剥がす。そのことにホッとするが、なに人の彼氏に抱きついてんだよボケェという嫉妬の感情も渦巻く。
「みょうじ顔怖いよー」
友達は面白いうものを見たようにニヤニヤする。私はそれどころではなかった。五色に私以外の女の子が抱きついたという事実が気に食わなかった。
......
「お前なんで今日そんな機嫌悪いの?」
部活が比較的早く終わった日、私の部屋で課題をやっていつものようにベッドに座って五色にもたれかかっているとき、五色は不意にそんなことをきいた。態度にださないようにしてたのに、こいつ見てないようでよく見てやがる。お昼のことが思い出されてまたどす黒い感情が渦巻く。私は五色を押し倒そうと体に力を入れるもビクともしなかった。
「なに」
「......ベッドに押し倒したかった」
「.........。」
五色は微妙な表情をして、「うわー」と棒読みでベッドに倒れていった。なんだよ「うわー」って!そんなことも今は気にくわない。私は倒れた五色に馬乗りになった。
「で、なにがしたいんだ。お前は」
「黙って」
私は五色のワイシャツのボタンに手をかける。ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。そして胸をはだけされると五色焦ったように起き上がった。
「おい!」
「じっとしてて、」
私は五色の胸あたりに吸い付いた。五色の体がびくりと揺れる。数秒吸い付いて離すと、そこには下手くそな赤い痕が残っていた。五色を見ると顔を赤くさせていた。
「なんなんだよ」
「......可愛らしい女の子に抱きつかれてましたね」
「は!?」
五色は焦ったように目を丸くした。
「見てたのかよ」
「あんなところで告白されてたら嫌でも目につく」
ふくれっ面で言うと五色は困ったように眉を下げた。
「機嫌直せって」
「.........じゃあ私にもぎゅーってして」
そう言うと五色は「俺から抱きついたわけじゃないけどな」と苦笑しながら言った。
五色は私を抱き寄せる。私も五色の背中に腕を回す。しばらくそうしてると五色は腕を緩めてた。そして私の頬に手を当てた。
「んっ......」
キスをされる。私の唇を吸ったり舐めたり甘噛みしたりとその唇の優しさに恥ずかしくなる。もう何度もらしていることなのに未だに慣れない。
「ふっ.....」
息が苦しくなって口を開けると五色の舌が入ってくる。私の舌を舐めたり歯列をなぞったり、その気持ち良さに蕩けてしまいそうだ。五色の舌が離れていく。つうっと銀の糸が引いた。名残惜しく思っていると五色は愛おしそうに私を見た。
「お前が一番好き。」
「......唇のキスは愛情を示すんだよね」
私はちゅっと五色の唇に触れた。
「私も好き、だから他の子に触れさせないで」
少し拗ねて言うと五色は「わかった、ごめん」と私を抱きしめた。
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