五色くんと番外編
みょうじと付き合うようになってから1週間が過ぎた。この短い期間で悩みなどなくラブラブだと言いたいところだが、俺には悩みがあった。

「みょうじちゃんと工ってさ、何だか遠くなったよね、物理的にさ」

そう何だか距離が遠いのだ。何だか、距離が、遠いのだ。ゆうに1〜2mは離れている。それは告白したあの日から距離を取られている。なぜだ、俺は知らないうちに何かしたのか。

「............。」

「............。」

帰り道、みょうじは俺を待っててくれていて、一緒に帰るようになった。しかし、2人の距離は遠い。距離が遠いために会話もない。話せる距離じゃないのだ。俺はみょうじに近づこうと一歩歩み寄る。するとみょうじは一歩後退する。そんなことを繰り返してる内にみょうじを壁際に追いやることに成功した。俺はみょうじが逃げないように一気に距離を詰め腕を掴む。するとみょうじは焦ったように振り払おうとする。何故か顔は真っ赤だ。

「や!離してよ!」

「お前ここ数日なんなんだよ!さすがに傷つくぞ!」

傷つく、そう言うとみょうじはビクリと肩を震わせた。そして小さな声で「だって」と言った。

「だって...五色に私の頭の中覗かれるんじゃないかって...」

「はあ?」

みょうじは赤い顔を更に真っ赤にさせ、顔を伏せる。

「あの日から、五色に触れたくて触りたくてしょうがないんだもん。こんなやらしいこと考えてるってバレるのが怖かったの!」

バッと顔を上げて掴まれてない腕で俺を殴る。「なんてこといわせるのよ!」いや、言ったのお前だろと思うも、言わせたのは俺かと顔がニヤける。そんな可愛いことを思っていたのか。

「別にそんなのふつーだろ。俺だって考えてるよ」

「え?」

お前よりえげつないこと考えてるっていうのは警戒されそうなので心の中にしまっておく。

みょうじはずるずると壁にもたれかかった。

「なんだ、普通なの。私てっきり...」

「だからそんなんで避けんなよ。傷つくだろ」

「うん、ごめん」

そして俺たちは手を絡めて歩き出した。みょうじはどことなく嬉しそうで、俺も久しぶりにみょうじに触れられて嬉しかった。

幸せいっぱいでバチが当たったのか、それともえげつないことを考えてるのを隠したのがいけなかったのか、それはわからないけれど、俺は今危機的状況にあった。

「..........。」

「おい、離れろよ」

みょうじと付き合って1ヶ月がすぎた。俺たちは今、学校でだされた課題をやるべくみょうじの家に来ている。親がいないので二人きりになる。ここまでは問題ないとしよう、いや、問題だけども。

課題を始めようと小さな机をだしてくれたみょうじは何故か向かい合わせではなく隣にきた。そこまではいいとしよう。よくないけども。(緊張して全く課題が手につかない)早々に課題を終わらせたみょうじは俺の肩にもたれかかってゲームをしだした。ゲームをするのは良しとしよう(課題やってる隣でなにしてくれてんだと思ったけども)肩にもたれかかれるのは如何ともしがたい。みょうじの柔らかな体が俺の右側から感じる。二人きりだし、手を出さない自信がない。どうやらみょうじはスキンシップが好きらしく、二人きりになるとよく俺に抱きついたりする。正直に言おう。もう我慢の限界だ。1ヶ月、よく我慢したんじゃね!?もう手を出していいんじゃね!?でも大事にしたいしなと葛藤がぐるぐる頭の中を巡る。そして結局大事にしたい気持ちが勝って未だに手はださないでいる。

「おい!」

「いいじゃん、誰もいないんだし」

だから問題なんだよ!家に親御さんいたらこんなに焦らんわ!ゲームが一区切りついたのかみょうじはゲームを置き、俺に抱きつく。みょうじの柔らかな胸が体に押し当てられる。やばいって!本当に!こんなことならあの時えげつないこと考えてるって言って警戒させればよかった...!みょうじからいい匂いがする。もう我慢の限界だった。俺はみょうじを押し倒した。みょうじは目をぱちくりさせ、顔を真っ赤にさせた。しかしこいつらしなく、なんの抵抗もしない。

「...なんか抵抗しろよ」

「...五色ならいいかなって」

みょうじは俺から目をそらし顔を真っ赤にさせて言う。こんなの手を出すなってほうが無理だ。俺はみょうじの首筋を舐めて強く吸う。みょうじから甘い声が漏れた。服を脱がそうとボタンに手をかけようとした時、ドゴォという音がした。俺の腹をみょうじが蹴ったのだ。

「ぐっ」

「ちょっ!まって!!」

「お前!蹴る前に口で言えよ!」

「だって...」

俺は痛みで悶絶し、みょうじの横に転げる。みょうじは「ごめんね」と俺の腹を撫でた。

「だって...、この気持ち良さが連続でくるのかと思ったら耐えれなくなって...」

なんでこいつはやめてほしいのにこんな煽るようなことを平気で言うんだ...!俺はむくりと起き上がって「課題する」と一言つぶやいた。みょうじは警戒したのか俺に気遣ったのか、俺と向かあいわせに座る。こんなチャンス二度とないだろうなと俺はため息をついた。


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