08


予選もなんとか突破した。私は最初のほうに闘ったけど、力の使いすぎで勝ったあとぶっ倒れてたので皆の試合を見ることができなかった。無念。

本戦が近づいてきたある日のこと、バキさんに収集をかけられた。なんだろう?と我愛羅と一緒に収集場所に向かう。

「なんだろうね?激励とかしてくれるのかな?」

「知らん」

呑気にそんなことを話せてられた。収集した理由を知るまでは。

……

「せん……そう?」

「そうだ」

皆が揃った途端にバキさんが言ったことは、木の葉に戦争を仕掛けるということだった。なんで……?いや、理由はわかった。でもこの作戦我愛羅に負担がかかりすぎる。もしかしたら我愛羅が死んでしまうかもしれない。みな平等に死の可能性はある。でも、我愛羅だけ格段に上な気がした。そんなの嫌だ。

バキさんは話し終わるとバキさん以外みな部屋から出ていった。私は1人動けずにいた。

「どうした、退室していいぞ」

「っ!!」

私は能力を発動させる。もしかしたらバキさんの迷いがあって、説き伏せられるかもしれない。心の迷いをつくんだ。

「……バキさんは本当に戦争なんかしたいんですか?」

「………。」

バキさんの心が流れてくる。
「(したい訳ないだろう)」「(しかしこれは風影さまのご意思だ)」「(砂の忍が生き残るにはこれしか)」「(また多くの血が流れる)」
バキさんは戦争なんかしたくない。付け入る隙があるかもしれない。でもどうやって話せば戦争を回避できる?分からなかった。私は素直に自分の気持ちを話すことにした。

「私は……、戦争なんて嫌です。皆が……、我愛羅が傷つくのが嫌です!」

「!」

バキさんはつかつかと私の前までくると私の頬を殴った。殴られた方向に吹っ飛ぶ。血の味がして、唇が切れたことがわかる。

「甘ったれたことを言うな…!」

「でも…!みんな死ぬかもしれないのに!!」

「忍が殉職するなんて珍しいことじゃない!!!二度とそんなことを言うなよ。士気が下がる!」

バキさんは扉をバンッと閉めて出て行った。私は急いでバキさんを追いかけた。

「バキさん!待ってください!!」

「……まだ言うならこの場で殺す」

「!」

本気だった。バキさんは本気で私を殺してもいいと思っていた。ダメか、失敗だ。でも、まだ道はあった。風影さまに直談判してみよう。本戦の前日には木の葉入りするはずだ。そこで、命を賭けよう。戦争を止められるなら殺されてもいい。だって私は我愛羅が好きだ。

……

「おい、その間抜けな頬はどうした」

「えへへ、ちょっとね。転んだ」

なまえはほっぺたに湿布と唇に絆創膏を貼っていた。そんな転け方あるかと理由を聞いてもなまえは左右に首をふるばかりで話してくれない。俺はため息をついた。

「もういい」

「……ごめんね?」

なまえは申し訳なさそうに俺に謝った。言いたくないことくらいあるだろうと、この時俺はそれ以上聞かなかった。どうしてもっと追求しなかったのかと後で深く後悔することになる。

……

本戦前日、私は風影さまのもとへ走って向かった。謁見することは叶わないと言われたが、そんなことで諦めてたまるか。私は護衛の心を視て動きを先読みし、風影さまのもとへなんとかついた。護衛がかけつけてくるまで数秒しかない。でもなんとかする。そう思って風影さまのいる部屋に飛び込んだ。

「風影さま!」

「なんだ、騒々しい」

風影さまは椅子に座ったまま顔だけこちらを向けた。いや、風影さまに変化したなにかがこちらを見た。感情が風影さまのものじゃない。誰だこいつは。風影さまは影武者を使っているのか?いやでも木の葉を落とすには風影さま自らでるしかない、その可能性は低い。もし、もしも風影さまが殺されていたら?木の葉との戦争に砂を利用してるだけだとしたら?我愛羅たちに言う?いや、もし風影さまが殺されてるなら、我愛羅たちにこのことを言ったら傷つくかもしれない。
私が風影さまじゃないと気づいたことに気づかれるわけにはいかなかった。言うことに気をつける必要があった。

「風影さまはなんで戦争をするんですか…?」

「木の葉を崩すことで、砂を回復するためだ(サスケくんを手に入れるためよ)」

「!!!」

やはり、建前はバキさんが言っていた通りだけど、本音は全然違うことだ。サスケって、あのうちはサスケか……?とにかく、私はこいつに我愛羅たちを使い潰されるわけにはいかなかった。でも、風影さまじゃないなら戦争回避は前より望めない。……なら、方法はもう一つしかなかった。
私は暗部に取り押さえられたけど、風影さまもどきがそれを許すように伝えたからなんとか解放された。

「働きに期待しているぞ、なまえ。(せいぜい私のいい駒として戦いなさい)」

「……はい、」

……お前の思惑通りに行くと思うなよ。











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