お手入れしましょ


・原作沿い
・紫苑さんはネズミの仕事場に差し入れとかして
・うっかりスカウトされちゃって
・イヴ同伴出勤で女装決定!
・だからまず、脛毛剃るか!て話



「…あんた、旧式の刃物なんか持ったことないだろ」
「え?なんで?」
「すっげーあぶなかっかしいんだけど」
「そうかな?大丈夫、ちゃんと剃れて…あてっ」
「紫苑!?」
「あ、なんでもない」

慣れない剃刀を持つ紫苑の手付きはいかにも素人で、はらはらしながらネズミは見守る。
紫苑はといえば、そんなネズミの心中を知るはずもなく、呑気に剃刀を脚に滑らせている。

ちなみに、今二人がいるのは風呂場である。

「あ、この角度で滑らせると一番よく切れるんだ、この剃刀。あっ、でもここ、刃こぼれしてる…あっ」

またも紫苑は剃刀を取り落とす。
胆を潰してネズミは立ち上がり、ついに我慢できず、紫苑から剃刀を取り上げようとした。

「貸せよ、おれが手入れしてやる」
「えっ、でもネズミ、そんなの悪いよ」
「いいから貸せ」
「えぇー」
「つべこべ言うな」
「横暴だな。べつにこのくらいぼくだって…」
「見てるこっちの心臓に悪いんだよ!分かってないな、あんたは」

仏頂面のネズミを見上げ、紫苑は小首を傾げた。

「あ、もしかしてネズミ、心配してくれてるの?」
「はあ?だいたいあんた、もう自分の容姿が商売道具なんだからな。傷の一つでも付けたら駄目なんだ、自覚しろよ」
「…要するに、心配してくれてるんだよね?」

はあああ、とネズミは大きく息を吐き出す。
その声は風呂場に反響し、何倍も大きく聞こえた。

「ふふっ、嬉しいよ、ネズミ」
「別に、そんなんじゃないから」
「じゃ、どんな」
「もったいないだろ。っていうかあんたに傷がついたらおれが困る」
「…ふぅん」
「なんだよその目は」
「上目遣い」
「自覚してんのかよ」
「ネズミがよくする目付きだから、真似してみた」
「えっ」
「そっちこそ、自覚ないの?」
「いや…」
「まっ、いいや。そういうことなら、ネズミ、よろしく」

はい、と紫苑は剃刀を手渡す。
ネズミはそれをくるりと手の内で回すと、にっこりと微笑んだ。

「承りました、陛下。どうぞおくつろぎくださいませ」


fin.
2011.11.07

このあとネズミに丁寧にお手入れしてもらって、思ったより恥ずかしくて赤面する紫苑さんも好き。
でもそれも演技だったりして?いやいや、…そんなんだったら紫苑さんまじこわい。
あ、たどたどしい手付きはもちろん演技。
だって考えてもみてよ?12歳で縫合手術できるような、器用な子なんだよ?剃刀なんて、ねぇ?

例によってネタ元はガーコさんです!
ネズミはお仕事あるからこまめに剃るよね、ネズミにお手入れしてもらう紫苑さんとかなんか恥ずかしくていいな(※紫ネズです)、とかそんな。

ところで、二人はどういう経緯で風呂場にいるんだ?
ネズミの風呂に紫苑が乱入したら、ネズミがお手入れ中で「あ、紫苑。いいところに来たな。あんたもだぞ」とか?
それとも一戦終わった後のry
なんでもないです、そろそろ黙ります、ええ。
…こんなん速打ちしてるから親指が腱鞘炎になるんだぜ。
あ、でも今日は比較的ゆっくり打ってるから大丈夫だもの!


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