ミッ●ーの誕生日!


「ネズミ、今日は11月18日だよ!何の日か知ってる?」
「…あんた、イベント好きだな。で、今度はなんだよ」
「ミッキーの誕生日!」
「…は?」

にこにこと例によって紫苑は底の見えない表情で笑っている。

「…何たくらんでるんだ?」
「へへっ、実はもう用意してるんだ」
「何の」
「もちろんミッキーの耳と尻尾と衣装と」
「あんたが着れば」
「ぼくじゃ意味ないよ、ネズミが着なきゃ!ネズミなんだから」
「一緒にするな」
「じゃあ本当の名前教えてよ」
「やだね」

ぷい、と紫苑から顔をそむけ、それきりその話題に興味をなくしたネズミは読書を再開する。
だが紫苑は諦めていなかった。

「ほらー、83歳のお誕生日お祝いするよ?」
「…83歳?ミッキーって、ずいぶん年なんだな」
「そうだよ、年上は敬わなきゃ」
「だから、なんでおれが。馬鹿馬鹿しい」
「むしろ、どうして嫌がるの?ネズミ、いつも女装してるのに。女装は良くてミッキーはだめなんだ。ふーん」
「な、なんだよ」
「やっぱりそうなんだ。前から思ってたんだよね」
「は?」
「ネズミって女装好きでしょ」
「あれは仕事だろ」
「まんざらでもないんだろ」
「あんた、しつこいな」
「分かった、もういいよ」
「理解してくれたか」
「そんな憂慮すべき事態を予測して、ぼくはちゃんとあと一式用意したんだよね」
「…え?」
「女装はオッケーなネズミのために。ほら、ミニーマウスの──」
「あんた全然分かっちゃいないな」

おれは耳とか尻尾とか変態くさいのが嫌なだけだ。
女装云々は関係ない。

あまりに馬鹿らしくて説明する気力も失せたネズミは、紫苑を黙殺することに決めた。


fin.
2011.11.18

ハッピーバースデー、ミッキー!
ディズニー好きの友人がmixiで呟いてたので知りました。
ミッキーの誕生日とか、この私がいちいち覚えてるはずないじゃない!
ネズミに耳と尻尾を付けさせたくてどうにかこうにか頑張る紫苑とか萌えます。
この後結局、紫苑さんの嘆願に根負けしてコスしてやるネズミさん。
そんで次の瞬間には紫苑さんに美味しくいただかれちゃうんだぜ!
あー私の脳内ほんっと残念だな。
あ、友人の迷言「えっ、リアルに83歳なの?」が使えなかった。無念。


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