月桜妖刀 | ナノ




拾七


「蒼央、少し話いいか?」
「一さん…?何?団子だったらあげませんよ」
「いや、いらないが…」

蒼央の隣に腰をかけ、
先ほどの取引の内容を思い出した。
少し不安に思いながら口を開こうとすると、
先に蒼央が口を開いた。

「一さん、
僕悩んでるんだよね」
「!…そう、か」
「うん。」

蒼央はゴロンっと寝転がり、
目を少し瞑った。
そして再び起き上がる。

「一さん、
僕ちょっと茶屋いってくるねー!」

蒼央はそういうと、
いきなり立ち上がり、
ウィンクをした。

「な?!蒼央ま「いってきやぁぁぁすっ!!」

その場を走り出した。
できるだけ早く、早く。

・・・

「蒼央…」
「なんじゃ、斉藤君。ため息は幸せが逃げるぜよ」
「?!坂本!!」
「っとぉ、いきなり叫ばんでくれ…」

木の上に座っている坂本竜馬は笑いながらピストルを手で回す。
そしてふと笑う。

「斉藤君。蒼央のことは、わすれてくれんかのう?」
「…貴様に言われる筋合いはない。」
「せっかく親切にいってやったんじゃけどのぉ」
「どういう意味だ」

斉藤が聞くと、
坂本はふと口に弧を描いた。

「蒼央は…」


・・・

斉藤は走って屯所に向かった。
蒼央がいるはずの場所へ。

「蒼央!!」
「斉藤さん!どうしたんですか〜?蒼央さんなら
いつもどおりサボリ「いないのか?!」




『蒼央は、屯所から自らいなくなる』


(うそだと、俺は信じたかった)
(あ、べっこーあめほしいな←)




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