[桃子視点]








跡部「悪いな、急に」







景吾から腕を掴まれ店を飛び出し私達は
皆がいる場所から少し離れた公園に来ていた。







桃子「…私達も急にごめん、
テニス部で打ち上げだったのに」



跡部「そんな事はどうでもいい
…本当に久しぶりだな、桃子」







入口から少し離れたベンチに腰を下ろし、
相変わらず綺麗なアイスブルーの瞳をした彼が
私をまっすぐ見つめていた






桃子「そうね、二年ぶりだもの」





跡部「…お前が立海に行ってからもう二年か」












桃子「あの時はごめんなさい」



跡部「やめろ、桃子!」






あの時の話をするなんて
当然分かっていた私は頭を下げて謝ったが、
直ぐに景吾は止めに入る












跡部「お前から別れを切り出されて、
立海に行った時に親父から理由を聞いたんだ」



桃子「…理由」



跡部「お前の両親が離婚した事、
それがきっかけで神奈川に転校した事」







桃子「…」



跡部「お前の態度がおかしくなるなんて、
ずっと一緒に育ってきたんだ。
少し考えれば何が理由かなんて直ぐに答えに
辿り着くのに俺は自分の事しか考えてなかったんだ」







跡部「当時テニスの事で頭がいっぱいで
お前にまで手が回らなかった」








桃子「…違う」



跡部「あーん?」








私が答えると景吾は疑問を抱いた顔をしていた








桃子「付き合う時に、どんな事があっても私は
景吾の力になりたいって言ったわよね?
ずっと目標に向かって頑張っていたのは知ってる、
夢が叶わなくて落ち込んでいたのも知ってる。」









桃子「なのに景吾が一番辛い時に
私は逃げ出してしまった」







跡部「…桃子」





桃子「悪いのは自分の事しか
考えていなかった私のほう」












ずっと彼に伝えたかった言葉が
意外にもあっさりと出てくるのとは裏腹に、
当時の感情が蘇りいつの間にか涙が
私の足にこぼれ落ちていた











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