奏哉にお別れの言葉を言いに来て欲しい。
紗奈さんからそう言ったメールが届いた。

「ナル、どうしたのだ?」
「え…?」
 なんでもないよ、と言うと永久は
「ウソつき。」と言った。
「カナヤに何かあったのだな?」
「永久には敵わないな…」
「で?」
「奏哉、明日までに意識が戻らなかったら
心臓とか提供するんだって。だから…」

お別れの言葉を言わないと。

そう伝えると永久は「小生も行って良いか?」と聞いてきた。
「ぜひ。」


 ―奏哉の病室にて―
 奏哉は痩せた。あたしは、沢山のことを伝えたいのに、
なにも言葉にならない。
友達の佳織が心配してるよ。
あたし、奏哉が居ないと……無理だよ。
 
 むぎゅぅぅう!!

 びっくりして横を見てみると、
もう少ししか残っていない奏哉の頬の肉を
永久がちいさな手で抓っていた。
「ちょ、ちょっと永久?!」

「お前が起きねばナルが悲しむのだ!
お前にとってナルは、大切な彼女なのだろう?!
よく襲撃部で自慢してたではないか!!
起きろ…起きろ、バカナヤ!!!」

 バ、バカナヤ???
永久、奏哉のこと、
バカナヤって言った?

「イテテテ…」

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