「朱鳥。」
どれくらいそうしていたのだろう。梓と葵がいつの間にかそこにいた。
「梓、葵……。」
「亜良も、成留も心配してる。」
そこに永久の名前は出てこなかった。当たり前、か。
うちなんかより永久はもっと辛いことを経験してきたんだから。
うちの頭に、かわいいかわいい後輩達の顔が思い浮かんだ。
黒髪ショートの亜良。色素の薄い髪の成留。
カチューシャの美景、ポニーテールの友海。
心配かけちゃったかな。ちょっと悪いことしちゃったかも。
「ねぇ、朱鳥。」
「?」
「私たちは、朱鳥に何があったのか知らない。
だけどね、成留も亜良も心配してるし、
永久も建前で言ってるだけで本心は心配で仕方ないのよ。」
「葵・・・。」
そうだよね。うじうじしたって仕方ない。
うちは元々そんなキャラじゃないしね。
そもそもくそ爺の事で悩むなんて禿げそう。
「たっだいま〜」
「「朱鳥先輩!」」 「む。」
うちはこの合宿が終わるとき、一回本家へ帰ろうと思う。
そう言うと葵も梓も「文芸部はその日活動するから。」といった。
かけがえのない[FRIENDS]なんだって言った気がした。
うちは、うちだ。大丈夫。
過去は未だときどき足を引っ張るけれど。
そんなの引きちぎってススメ。
面倒だ。引きずってでも這いずってでもうちは、歩く。
走ると疲れるから、ね。
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