あたしは貰ったコーヒーデニッシュを
むぐむぐ食べながらエッセイに取り組んでいた。
「今までの自分の人生を綴ってみて。」と、朱鳥先輩。
そう言った本人は端っこのほうで問題集に取り組んでいた。
・・・先輩達は大抵詩か小説を書いているのだが
朱鳥先輩は別格で、顧問の沢村 なほ(さわむら なほ)先生に
「朱鳥ぁ〜部誌に載せるための小説書いて〜」と
無茶ぶりをされたのにも関わらず、3日で120ページ書いて
「できたできた。うち、受験勉強するね。」と言った。

「ワたし朱鳥センパイ、ソンケイします。」
 と亜良ちゃんがエッセイの手を止めて言った。
亜良ちゃんの原稿用紙はまだ三分の一ぐらいしか埋まっておらず
何回も消しゴムで消して黒ずんでいた。
・・・とはいってもあたしも2時間かけて
原稿用紙5枚という悲惨な結果だけど。
カツカツとシャーペンが原稿用紙を叩く音が図書室に響いていた。


 「んじゃ、うち、帰るわ。」
 と朱鳥先輩は荷物をまとめて帰った。
・・・まだ部活動時間1時間残ってるけどね。
「葵、あとよろしく。」
「朱鳥ぁ、今日は梓と永久来ないの?」
「梓は最初っから襲撃部行ってたし、永久は、
最初来てたじゃない。だからもう来ないと思うけど。」
「ふ〜ん」
 文芸部副部長、南本 葵(みなもと あおい)先輩は
それだけ言うとまた原稿用紙に向かった。真剣そのもの。
といっても「適当に言葉を置いてるだけだよ。」
と葵先輩は凛とした声で言う。
文芸部では珍しい俳句と短歌が専門の先輩で、
ぽつぽつ書いては、ぽつぽつ休む事を繰り返している。

 ちなみに朱鳥・梓・葵先輩が主に文芸部を動かしている
通称「TA」。3人の名前が「あ」から始まる事に
関連付けてつけられた。(Tはトリプルの意味)
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