食事を運んでいくわしに、みどねぇは、
「もう来なくていい。」
っていった。
「なんでや!」
「もう、いいから。ありがとう、陸。」
「ちょっ……みどねぇ!」
それが、わしの見た、最後のみどねぇやった。
「二人で作ろう」って約束したプラモデル。
上手く削れないわしのかわりに、みどねぇが削ってくれた鉛筆。
廃材でつくったフォトフレーム。
わしらの関係を作ってきた小刀で、みどねぇは死んだ。
それから、いくらの時が流れたのだろう。
オカンとあの人は離婚して、わしはオカンに引き取られた。
オカンだって、最初は許せなかった。
わしが荒れたのは、みどねぇが死んだからではない。
上手にいえへんけど、わしは多分、わし自身に腹を立てていて。
”子供はしちゃだめ!”ということは、ひかれた。
高校だって、別に行かなくてもいいと思ってた。
けど。
オカンが言った。
「陸。わたしを殺して。緑里が死んだその小刀で。」
感情が、一揆に振りきれた。
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