鈴香side2



 アポをとって、ぼーっとしていると、陸君に呼ばれた。
「なぁ、鈴香。」
「ん?」
「今日の芯の見舞いなんやけどなぁ、海月も一緒でええかぇ?」
「うん、構わないけど?」
「おおきに!」

―芯の家にて―
「おっじゃましまーす!」
 中はとても静かだった。
「おぉ〜、芯の部屋久しぶり〜。」
「ねぇ、この靴誰の?」

 玄関には3足靴があった。
ハイカットのスニーカーと、まだ新しいシンプルなスニーカー。
ハイカットのスニーカーの隣にちょこんと置かれた高そうなパンプス。
「……誰の?」
「いや、俺に聞かれても……。」
「だって、これ竹花さんのじゃないよ?」
「うーん……まぁ、いいじゃん。泥棒だったら、芯がやっつけてるでしょ。」
「芯風邪ひいてんだぞ?!!」
「え、そうだったっけ?」
 葵依ちゃん……それじゃ此処に来た意味無いじゃん。(汗)
「秀歌ちゃんのじゃない?」
「あり得ないよ……秀歌は結構ヒールのあるやつしか履かないし。あ、それか草履とかかな〜?」
「幅ありすぎるんだけど?!!」
「?なんだ、鈴香知らなかったのか?秀歌ん家は呉服屋なんだぜ?」
 初耳だし!!!

「あれ〜?なんやぁ、来とったんかぇ?」
 陸くんだった。間延びした声で私たちに階段の上から声をかける。
「いつ来たの?」
「あぁ、ちょっと予定がずれてしもぉてん。
せやから、ちょいと早めに来させてもろぉたんやぇ。」

「ご、ごめんなさい。関西弁ちょっと分からなくて……。」
「鈴香。大丈夫だ。陸のは“混合語”だからな。」
「いろんな言葉が混ざって自己流になってるのよ。」
「そんなこと言わんでもよろしいやろ?!やけん葵依は……あ!!」
 ドガガガガガ、バダン。
人が階段から落ちると、こんな音がするんだね。
「……てぇ……。ちょぉ、海月!なにしくさっとんじゃ!」
「“なにしてるんだ!”ってことだよ、鈴香。」
 ほぉ〜〜。
って。 クラゲって、誰?
やがて、階段の上から紙が落ちてきた。スケッチブックを破った紙に、可愛い字で書かれている。

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