甘えたちゃんしたい | ナノ


行軍が終わり、食事の時間までにはまだ時間がある。
いつものようにアルムはルカの天幕で寛いでいた。
ルカもアルムが来るのが当たり前になりつつあるので、何も言わず本を読んでいる。

疲れもあってかアルムがうとうとしかけた時。
突然後ろからルカが寄りかかって来て、アルムは驚いて思わず体を震わせてしまった。

「どうしたの」
「その、ええと」

少し目を泳がせた後、照れくさそうに「アルムくん分チャージです」と微笑んで、今度は抱き付いてくる。

(僕の真似……したかったのかな)

可愛い。可愛すぎる!
今すぐ押し倒してやりたい衝動を何とか抑え込み、アルムはルカに気付かれないよう静かに息を吐いた。
二人きりの時でもほとんど自分が甘える側で、ルカが甘えてくる事は滅多にない。
なので、自分がさせてもらうのと同じようにアルムはルカの好きなようにさせてやる事にした。
ただし。理性が持つまでの間だけ。

「アルムくん」
「なに?」
「ふふ、呼んでみただけです」

声からして、楽しそうな事が伝わってくる。こんな風に時折名前を呼ばれて頭を撫でられたと思えば、首筋に顔をうずめられて。

「このまま時間を止めてしまいたい」

なんて殺し文句にも等しいような事を言われたり。
色々な所に啄ばむような口づけをされたり、ぎゅうぎゅう抱き付かれたり手を握ったり指を絡ませたり。
兎角、様々なスキンシップがアルムを襲う。

なるべく余計な事は考えず、アルムは自分が人形遊びの人形になったような気になって、その場をなんとかやり過ごしていた。

「楽しい?」

顔だけをルカの方に向けて聞いてみる。

「とても。気分も落ち着きますね」

ルカは嬉々として問いかけに答え、アルムの唇に自分の唇を重ねてから、歯を見せて笑って。

とっくの昔に限界を迎えていたアルムは、その笑顔で理性が遥か彼方へ飛んで行くのを感じた。
体を反転させて向い合せになりルカの両肩を掴むと、きょとんとした顔をして首を傾げる。惚れた欲目を抜きにしても、絶対に可愛い。

「アルムくん?」
「ごめん。もう我慢の限界。食事の時間までには終わらせるから」

後からどんなに怒られてもいい。
我慢した分、たっぷり可愛がってあげようと叫ぶように名前を呼び、アルムは加減も忘れてルカを押し倒すのだった。



うちのアルムくんいつも押し倒してんな
前にUPしたルカ分チャージのお話

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