「頭…いたぁい……。」
「風邪…ですか?」



頭を押さえながら歩いていると、右隣りから声がした。
ちらりと目をやるとそこには、白髪碧眼の美青年、白銀。通称ネーゼがいた。



「あ〜、ネーゼ。そうなんだよね、最近疲れててさ。」
「喋るな、俺にうつすな。」



苦笑いで話すと、ネーゼの向かい側からひどい言葉が聞こえて来る。
昶だと言うことはすぐに分かった。
体調不良のか弱き女の子にいう言葉か!!



「げほ、げほ、」
「何わざとらしいせきしてんだよ。」



そういってスルーされた。



「もう!!昶のバカァ!!!」
「ふふ、それだけ元気があれば大丈夫ですよ。」



そういいながら昶に付いていくネーゼ。
三つ編み解いたろか!!!
心の中で罵倒し、さっさと教室に戻った。



「……寒い…」



授業がほとんど終わり、放課後に近付くにつれて、症状が悪化していっている。
この真夏に、寒いだなんてこれは風邪しかない。



「凪冴〜、バイバイ」
「あ、うん、バイバイ。」



下駄箱で声をかけられ、笑顔を作り手を振った。
だが、その行動で一気に疲れてしまう。
…………はぁ、家帰ったら早く寝よ。
そう思い、足を早めた。



「はぁ、はぁ…………」



いつもはどってことない早歩きも、今日は一段と疲れる。
人気のない道に入った途端、グラリと視界が揺れた。



「……っ───!!!」



頭を押さえて近くの塀にもたれた。
…めまい…?もしかして、熱が…
もう一度視界が揺れ、今度こそは倒れる、と思った瞬間───……



「凪冴っ!?」



ぽす、と誰かに抱えられた。
この声は…………――――
いつの間にか私は、“彼”の腕の中で眠りについていた。



*********************



「…………ん…?」
「気付いた?」
「………!!!!!ここここここ…洸っ!!」



いきなり覗きこんで来た洸にびっくりして後ろにのけ反る。
ゆっくり周りを見渡して見ると、見慣れた部屋。



「洸……の、部屋…?」



そう聞くとニコッと笑った。
彼は静かに片手を私の額に当てた。



「うん…まだ、熱いね。ほら、早く横になって。」
「え、…でも……」
「ん?何、チューしてほしいの?
「違うし。……ってか何迫って来てんの!やめ…っ…風邪うつるからっ!!!」



必死に洸を食い止める。
すぐにこれなんだから。
やっと引いてくれたかと思うと、ケロリとした明るい声で



「じゃあ、治ったらチューしてもいいの?」



と言った。



「いいわけな……」
「お粥作るけど、何がいい?」
「卵…。……じゃなくて、人の話を聞けぇい!!!」
「はいはい」




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