(28000キリリク/未央様)





ジリリリリリリ!!!!……───






無駄にうるさい目覚まし時計。
テニス部のマネージャーになってから目覚まし時計を買い替え、朝早くても起きれるように"うるさい"物にしたのに。
3年もこの音を聞き続ければ馴れるのも当然だ。
……眠い。寒い。布団から出たくない…。





リリリ…リ………カチ。





あれ、目覚ましが止まった…?
私は寒くて手を出すなんてこと、していない。
じゃあ…お母さんかな?





「お母さん……あと5分…だけ……。」

「………俺はいつ、お前の母親になったんだ。」

「………うえ?!」






お母さんかと思いきや、低い男の人の声が聞こえた。
お父さんでもない…この声は……!
バサァっと布団を取り上げられた。





「きゃぅーーーっ!!さむっ!!!!ってか、蓮二ーっ?!」





何回か叫ぶと、キッと睨まれ『朝っぱらから騒ぐな。』と言われた。
何故蓮二がここに…あぁ、そういえば遅刻魔な私を起こしに来てくれるとか言ってたな…。
謝りながら、布団を手繰り寄せる。





「ほら、早く用意しろ。」

「……はぁい…」





渋々ベッドから足を出し、冷たいフローリングに足を付けた。
蓮二はそのまま私の部屋を出ていった。
着替えを済ませ、リビングに向かうとお母さんと蓮二が談笑していた。





「…用意はできたか?」
「う…うん…。」





返事をすると、お母さんと何回か言葉を交わしてからこちらへ来た。
二人揃って玄関に立ち、『行ってきます』と言ってから外へ出た。
少しだけ、肌寒い。





「何話してたの?」

「気になるか?」

「………うん…」





横を歩く蓮二が急に口元を押さえて笑いはじめた。





「え…ちょっと……何がおかし…」

「嫉妬、か?」

「!!?そ、そ、そんなわけないでしょ!蓮二とお母さんが話してたって、私には…関係…ないし……。」





チラ、と斜め上を見上げると偶然にも目があった。
(正式には、目があったような気がしただけだが)
次の瞬間、ふわっと柔らかく笑った。





「安心しろ、お前のことを話して居ただけだ。」

「え?!私!?何、どんなこと?!」

「それは言えない。」

「なんで!」





蓮二がいきなり気まずそうな顔になった。
一体お母さんと何を話してたんだろう?





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