仁王に悟されて自分でも考えてみた。
何回考えても、必ず同じところにたどり着くのだ。
私は…きっと…。
「朱鷺原ー!」
呼ばれて後ろを振り向く。
バシン!
と鈍い音ともに背中に激痛が走る。
「いったぁ…!ぶ、ブン太!」
背中を叩いたのはブン太だった。
ブン太は『一緒に帰ろうぜぃ』と私を誘う。
別に断る理由もなかったので、二つ返事で了承した。
帰り道、ちょっとジンジンしている背をよそに、ブン太はペラペラと話を始める。
「…─でさ、そいつが──…」
いろんなことをずっと話してくれる。
……変だ。
何だか優しすぎる。
いつものブン太なら、お菓子あげるとか、何かをあげないと私なんかに着いてはこない。時々楽しく話してくれるが、いつも最後に『お菓子くれ』とねだる様は、まるでピッグである。
というか、今日私を誘ったのも目的のほうがよく分からないのだけれど。
「私、今日お菓子もってないよ!」
「…はぁっ?!」
「あれ、お菓子欲しいんじゃないの?」
「違うって!!」
てっきりお菓子が欲しいから私と話しているんだと思ってた。
なんだ、違うのか。
…もしかして…ブン太は。
「私、もしかしてブン太に、気使わせてる?」
「…っ?!」
あからさまにビックリしているブン太をそのままにして、2・3歩先を歩く。
そうか、きっと仁王にでも私と柳の事を聞いたんだろう。
私が沈んでいるから、元気付けようとしてくれていたのかな…。
歩いていても後ろから足音がしないことに違和感を感じ、振り返る。
すると、携帯をパチンと閉める音がして、ブン太が私の方に歩み寄り、手を引いて公園に入った。
「ブン太…?」
「ちょっと待ってろぃ!」
そういって私をベンチに座らせた。
ブン太は軽く走りながら公園を出て右に曲がる。
それと同時に姿が見えなくなり、4・5分待つことになった。
ふいに、汗が額から頬に流れ落ちた。
まだ辺りは暗くなく、お日様がギラギラと輝いている。
何すんのかな〜とボケーとしていると、慌ただしい足音が聞こえる。
見るとそれはブン太で、両手に黄色いかき氷を持っていた。
「ほら、食え!レモンは嫌いじゃないよな?」
「う、うん…」
スプーンで掬うとシャキシャキと音がなる。
夏っぽくて凄く涼しげだ。
しかも美味しい。
ブン太は凄い勢いで食べてると思いきや、携帯をいじっていた。
「メール?」
「え?!まぁ、うん。あ、かき氷上手いか?!俺のオススメなんだぜぃ!この公園を出たら右に行って──……」
道の説明をしてくれているブン太。
心が和やかになったところで、携帯がブーーブーと、震えた。
ブン太のだ。
パカっと携帯を開き、何回かボタンを押す。
「あぁあ!!」
「…っ、な、何、急に!」
「俺、ちょっとトイレ行ってくる」
「あ!え!ブン太!!」
私の呼び掛けも虚しく、後ろを振り返えらずに走り去っていく。
何でかき氷も持ってくんだ…?
不思議に思いながら、ボケーとする。
「朱鷺原」
いきなり私を呼ぶ…聞き慣れている声…
それは…
「…っ!柳っ!!」
柳がベンチの前に立っている。
…何で、何で柳が……ここに。
「なんだ、そんな幽霊でも見るような顔は。」
うにっと私の頬を軽くつねる彼。
こんな時まで何してるんだよ、君は…。
「いひゃいれふ、やらぎひゃん。(痛いです、柳さん。)」
「他に言うことは?」
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