まただ、前と同じ台詞。
私に何を言ってほしいんだろう、何を…。
考えているといつの間にか彼は手を離し、先程までブン太がいた所と同じ、隣に座った。
頬を擦りながら、隣の彼を不思議そうに見る。




「…あの、一個聞いてくれる?」

「………」




柳は頷きもせずに、黙って座っていた。




「あの…ごめんっ。…その…この間、私…。」




ショリショリとかき氷をつついていた手を休めた。




「でも!!私、考えたの。…やっと分かった。初めに会ったときの、優しい柳じゃなくても、私は貴方を好きになってた。一目惚れとかじゃなくて、本当の柳を知ってもやっぱり好きなの。」




必死にこの間の言葉を撤回しようとしたが。
柳は一つ、ため息をついただけだった。




「そうか…俺の話も聞け。」

「うん……?」




『聞け』っていう命令系も柳らしいっちゃ柳らしいんだけどね。




「始め、俺はお前が嫌いだった。普通の人よりな。」

「え゛え゛!!何それ!」

「最後まで聞け。」




ペシっと手の甲で叩かれる。
すぐに口を継ぐんだ。




「だから、マネージャーに成ると聞いた時は落胆したな。
それに重ね、告白されてどうしようかと思った。

お前が俺を見ているのも知っていたし、話すときに顔が赤いのも知っていた。
だから、とことん落としてやろうと思ったんだ。

…だからああいう態度をとった。」




柳が私にとる態度はやっぱり嫌いだったからなんだ。
私の気持ちはもう届かない。
シュンと顔を伏せるとこめかみにデコピンをくらい、『最後まで聞けと言っているだろう』と怒られた。




「だが、おかしいことに、お前が嫉妬した姿が少し、可愛く見えた。
最終的には俺が嫉妬するとは思ってなかったしな。

今気付いたよ、俺は…──。」




チビチビ固まった氷を食べていた私の視界が上がった。
正確にいうと、顎を持たれたのだ。
視界には柳の顔がハッキリ写っていた。




「……っん……」




気付くと口を塞がれていて。




「お前が好きだ。」







私と彼の体温で、口に含んでいた氷がじんわりと溶けた───…。







かきごおりはレモンの味
(氷の冷たさ、貴方の体温)







*******
あははー、いいなー←おま




 




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