私、頑張りました!
マネージャーって、大変ですね!


・部誌
・鞄持ち(柳の)
・タオルもあげるし
・ドリンクも買ってくる(柳の命令)。
・ボールを拾い
・暇潰しに弄られる(柳に)。
・勉強を教えてもらい(柳に)
・必ずデコピンをくらう(柳の攻撃)。


って、私犬っぷり発揮しすぎでしょう!
今日の今日こそは、犬から抜け出して、彼女になってやる!!
『うふふ』『あはは』を想像し、有頂天になっている私は、このあと『うふふ』の”う“の字も出なくなるのだが。


柳に頼まれていた、お茶を自販機で買ってきたところだ。(私のお金←重要)
F組に向かう。




「(あっれー?柳は……?)」

「すごーい!じゃ、これはどうやるの?」

「あぁ、これは、……」




この間の女の子達だ。
教えにもらいにきたんだ、あの妖怪に。
そう言えば、『いつでも教える』とかいってたな…。
何考えてるか分からないような、怖いデータマンに話しかけるとか、勇気がいただろうに。
でも、なんだ、この気持ちは。




「…ん?朱鷺原か。」

「あ、これ、買ってきたから。じゃ。」

「すまないな、頼んで。」

「いや、いいよ。」




軽く手を振って早め早めにこの場所から抜け出したいと願う。
私が背を向けたとき、後ろから声がした。




「ありがとう」




そう言った彼の声が心に響く。
何に対してなのか、私に対してなのか分からない、ただのありがとうだけど…
嫌だ、嫌だ、なんかすっごく嫌だ。




「朱鷺原?なにしと……」

「ん?どうし……」




銀髪の同級生もガムを噛んでる同級生も二人ともぎょっとした顔で私を見ている。
当の私は視界が潤んで細かいところは分からない。




「仁王、ブン太…」




二人の名前を呼んだとたんに彼らは私の両腕を掴んで走り出した。
う、腕が…抜ける…
連れてこられたのは屋上だ。
あからさまにブン太がため息をついた。




「はぁぁあ、何があったんだ?柳か?」

「うん……。……あれ?何でブン太が…」




そうだよ。
私がこの話(柳関連)するのは仁王だけなのに、何でブン太が知ってるの?!




「お前見てれば分かるだろぃ。ってか、テニス部で知らない方が珍しいぜぃ。」

「……マジ?」

「マジ。」




うわ、これ恥ずかし!
何でバレてんの!恥ずかし!!




「で?今度は何があったんじゃ?」

「……あ…うん。…大した事じゃないんだけど…」




仁王とブン太に話して、少しは楽になった。
今日は部活もないし、ゆっくり帰れそうかな…
と軽く伸びをして下駄箱へ向かった。




「朱鷺原、」

「…!!」




誰っ?!と反射的に振り返った。
後ろにいたのは、ニコニコとした部長だった。




「ごめんね、蓮二じゃなくて。」

「私は幸村部長で物凄く嬉しいんですがね。」

「そ?で、その蓮二を探してるんだけど、その様子じゃ知らないみたいだねぇ。」




困ったように笑う幸村を見て、ちょっと癒される。
ふ、ふつくしい………!
幸村とは一旦別れて、家路に着こうと思った瞬間…
ふと、隣を通った男子生徒が噂をしているのが聞こえた。




「そう言えばさっきテニス部の柳が女子に呼び出されてたなぁ。」

「マジで!俺もテニス部入ればよかったなー」




マジ…?
…でもま、私には関係ないからな、帰ろ。
帰ってゲームしよ。
それでも見たいと思うのが人の悲しい性。
場所は校舎裏。
ベタだなぁ……。と思いつつも、草影に隠れ、耳を立てる。




「柳くん、好きです、付き合ってください。」






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