あれは……
この前の…いや、今日の勉強の女の子じゃん!
柳は私みたいに凄い卑劣な言葉でフルのかな…
考えるだけで、相手の子が可哀想だ。
「…すまない。今は部活に専念したい。気持ちは嬉しいが、その気持ちに答えることは出来ない。」
「……そっか…、うん、分かった。ありがとう。」
…あれ…こんなときまで…私と全く違う態度…
もしかして私は…
本当に嫌われているのかもしれない…。
いや、好かれている方がおかしいけど。
それに、少し……
心が何だか痛い気がする。
嫌だ、嫌だ、すごく嫌だ。
さっきと同じ気持ちだ。
屋上で仁王に言われたことが頭に浮かぶ。
『嫉妬、ぜよ。』
『嫉妬…?私が?』
『参謀が好きだけど、他の女子に優しくしていると嫌なんじゃろ?立派な嫉妬ぜよ。』
……嫉妬…。
そんなものしたことなかったのに…。
私が……柳に…?
草に隠れ一人悩んでいた所に影がかかる。
「盗み聞きとは、悪趣味だな。」
「……柳…」
私は柳を見上げ、直ぐに反らす。
柳は少しむっとして、私を見ている。
スルリと簡単に言いたいことが口から落ちた。
「もう、いい」
「……」
「…もう、好きとか言わないから、…私に構わなくていいよ。」
「…原因は…あれか」
そういうと、帰っていく彼女を見つめていた。
「くだらない事に悩むくらいなら…」
「『くだらない』…?だから、もういいって。」
「…っおい。」
柳は去ろうとする私の腕を掴んだ。
勢いで二、三歩よろけた。
くだらないこと。
私に向ける貴方の笑顔も。
私にかける貴方の言葉も。
『ありがとう』も…。
くだらない。
「…何、何なの!あの子達と居ればいいじゃん。何で…私なの…?」
視界がだんだんボヤけてきた。
潤んでいるのだろうか…?
ネコ被るくらいだったら、私と居ない方がいいじゃないか…。
「……私、は柳がこんな性格だって知ってたら、好きにはならなかった!」
「……」
あ、と思った時は既に遅かった。
相手に何を言っていいのか、悪いのか…。
何を言ったら相手が傷つくのか。
自分でも、分かってたつもりだった。
謝りかけたとき、柳がそれを遮った。
「柳、ごめ…」
「それが本音なんだな。」
「…え…?」
柳はそのまま踵を返し、去っていった。
その背中を見ていると、心に穴が空いたような気分になる…
『本音』…。
私の頬に涙が伝った。
ふと、ブン太に言われたことが気になる。
『朱鷺原、お前、柳を好きになるのやめた方がいいんじゃねぇか?』
言っていいこと、わるいこと
(言葉の棘)
*****
嫉妬してみたーい。
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