:An Imitation

「佳織ぴっぴの髪ってさ〜〜自前〜?」
『自前だよ理紗ぴっぴ』
「そぉなんだ〜〜ウチ佳織ぴっぴの髪きれいで好きよ〜」

私の髪を持ち上げた理紗は、ウチらみたいに傷んでないもんねぇ。とほお、というようなため息混じりに言った。
―――中学を卒業し、立海大附属高校に入学したのは、まだ2週間ほど前の話だ。
東京の家からJR横須賀線を使って約1時間。神奈川の鎌倉に、この立海大附属高校はある。中学から高校、大学までがエスカレーター式の、関東ではそこそこ頭のいい学校だ。通学は、定期で学割を使っても、1年で5万と安くはない。が、特待生で学費全額免除とくれば安いものだと思う。
理紗は高校でできた初めての友人だった。見た目は金髪に着崩した制服、短めのスカート丈に校則違反の化粧と、お世辞にも褒められたものではないかもしれないが、同中出身者がひとりもいない状況の中、気軽に話しかけてきてくれたというのは、かなり大きいものだったと思う。遅刻して昼頃にやってくるか、朝から来ていても昼前に早退する。もしくは、授業を自主休講してのサボタージュ。入学してすぐに、ヤンキーだのギャルだの不良少女だのと言われてはいるが、この学校に入って来れている以上、つまりはそういうことだろう。そもそもこの学校には、内部進学組と、外部進学組というものが存在し、理紗はその外部進学組の中で珍しくそういう人種だったというだけの話だ。これが、割と内部進学組に多いらしい。

「D組のゆっこがさ〜特進になんかめっちゃ白い子いるよね?って言っててぇ」
『知らないなぁ』
「内部進学の子だからねぇ。あっ佳織っぴ〜のことだなぁって思ったからさ〜ぁ、あんたより純粋だから白いんだよって言っといたの」
『はは。別に、そうでもないけど』
「そぉ?あ、でもねぇ、ちょっと気をつけた方がいいかも〜〜」

間延びした声はいつも通りであったが、少しだけ声を潜めた理紗に、こちらも少し声のトーンを落として、何を?と聞き返した。

「佳織の髪のこと、テニス部の仁王雅治の真似してるって騒いでる子もいるみたい、よ??」

いや〜〜〜んほんと嫉妬深くてやんなっちゃ〜う。
わざと明るくつとめた理紗に、今度は私が盛大に腹を抱えて笑う番だった。真似してるって、まったく、どっちが。

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