:The monthly anniversary

『……コンちゃんや。そこに乗られると、佳織さん課題ができないんだけども』
「ミャァ」
『そっかぁ、そこがいいのかぁ…』

ならば仕方ない。今回は私が折れようじゃないか。
昨夜、幼馴染のテツとマジバから帰宅した後、久し振りに会ったこともあってか、話が盛り上がってしまい、結局夜中の2時頃までLINEで話をしていた。それでも朝にランニングをする習性がついてしまっているので、朝の4時には起きたのだが。母は用事があるとかで9時頃に出掛けていき、家には、女子高生でありながら休日に何の予定もない私と、今日も今日とて家で留守番をする猫のコンペイトウがいるばかりだった。
まあ、この課題はすぐに終わるものだし、提出期限までまだ日もある。そう急いでやるものじゃないし、いいや。プリントの上に乗ったままのコンちゃんに目をやり、満足げな表情を見て、私も休憩をすることにした。

くふぅ、とベッドに寝転がったところで息を吐く。少し疲れていたらしい。

『お母さん今日の散歩連れて行ったのかな……ん?』

連絡の有無を確かめるためにスマホを開けば、目的の母からの連絡はない。しかし、随分と珍しい人物から連絡が入っていることに気付く。はっとしてカレンダーを見る。日付には小さな丸がついていて、思わず、ああ…というため息がこぼれた。
忙しくて忘れるところだった。この先輩から教えてもらって気付くのは不快極まりないが、こういうこともあるだろう。お母さんがあまりにも普通に出掛けて行くものだから、気付かなかった。お母さんはもう立ち直ったのだろうか。立ち直って、もう忘れてしまったのだろうか。ネガティブになりかける頭を振り切って、リードを手にして立ち上がった。

『コンちゃん。お散歩行こうか』

今日は、亡くなった父の月命日だった。

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