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今日の仕事は俺と傑の2人と知らないモデルの1人で洋服ブランドの写真撮影だった。
しかも外での写真撮影で、名前も知らないモデルと3人で撮るってのもハッキリ言って面倒だ。
「つか、これって芸人の仕事かよ。」
「仕事が貰えるんだ。なんでも有り難いと思わなくちゃいけないよ」
元々ノリ気じゃない上に準備が終わってからかれこれ1時間以上は待たされてる。
俺と傑の元にスタッフが申し訳なさそうに近づいてくると、そのスタッフは話し始める。
「待たせて申し訳ありません。今回一緒に撮る予定のモデルの方が急遽来れなくなってしまったようで…」
「はぁ?1時間以上待たされてそれかよ。」
「悟。スタッフさんにイラついても仕方ないだろう」
「急いで代理の方を探していますので…」
スタッフがそう言うと俺達の後のスタッフ達がざわめき始め、俺と傑は振り返る。
「こんにちは」
「えっ、」
そこに居たのは小夜だった。
驚き固まっている俺と傑に小夜は話し始める。
「たまたま近くに買い物に来てたら何かの撮影してるって聞いて…それで見に来たらカメラマンの方に声をかけられて来れないモデルさんの代理で一緒に撮影する事になりました。よろしくお願いします」
「マジ?」
「狗神さんと一緒に仕事が出来るなんて嬉しいな。こちらこそよろしくお願いします。」
「お、俺だって嬉しいっつーの!」
絶対内心穏やかじゃないはずの傑は笑顔を作る。
俺は傑みたいに器用じゃないから慌てながらも
嬉しいと言うと小夜は照れながら笑った。
まじで可愛いな。
前世でも可愛かったけど。
今は前世の幼少期の小夜まんまだ。
やっぱり小夜には笑っていてほしい。
そんな事を考えて居ると小夜の準備が終わる。
スタッフ達はまたざわめき始める。
俺と傑の前に小夜が来ると俺達は息を呑んだ。
「…すげー綺麗」
「綺麗だ…」
「あ、ありがとうございます」
そう言った小夜は顔を赤らめる。
俺と傑は少しの間見惚れていた。
スタッフから小夜は勝気な女性の表情でと伝えられるとカメラの前に立ち、その瞬間小夜の雰囲気が変わった。
いや、変わるどころじゃない。
まるで別人の様な雰囲気と表情だった。
俺と傑は気合いを入れて撮影に挑んだ。
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撮影が終わるとすぐに小夜はスタッフに囲まれている。
「別人みたいでした!」
「凄かったです!」
「ありがとうございます」
「俺ファンになりました!」
正直面白くなく、俺がムスっとしていると傑は「当たり前だけどね。狗神さんが人気になるのは」そう言って俺の肩に手を置いた。
「分かってるけど俺らのがもっっっと前からファンだし。つかあの男スタッフ距離近くね?」
「本当だ…助けに行こうか」
そう言って俺達はスタッフ達から小夜を救出してから感謝を伝えて小夜を先に帰らせた。
その後、男スタッフに俺らは少し釘を刺してから帰ることにしたのだった。
次はいつ会えるかな…。
ーーーーー…。
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