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朝から最悪の気分だ。
硝子からは楽しそうなメッセージが届いたし、傑はある意味名前も売れるからいいじゃないかと言ってたけど俺はそんな風に思えない。
俺は傑と打ち合わせをする為にいつものカフェに早く来てずっと1人項垂れていた。
「珍しいね悟がこんなに早く来てるなんて」
「あー…最悪だ…」
「泣きそうな顔してるけど大丈夫かい?」
「っ、これが!大丈夫なわけ!ないだろ!!」
そう言ってテーブルの上に週刊誌を出す。
そこには[祓ったれ本舗五条悟!深夜に美女と密会か!?]と大きく書かれていた。
「あの話しかけて来たしつこい女と記者がぜってーグルだった。」
「やられたね。まぁ今回は勉強だと思って」
「そんな事言って良いのかよ。この記事の下の部分読んでみ」
「ん?…この美女は祓ったれ本舗夏油傑とも密会していた事が明らかに…は?」
「俺ら2人ともやられてんだって」
「す、すぐ小夜に連絡…」
「やめといた方がいいと思うけど」
「悟はもう連絡したのかい?」
「当たり前じゃん。連絡したら祓ったれ本舗のお2人はモテモテですからびっくりもしないですよ?ってきた…」
「…この記事訂正させに行こうか。」
「…硝子が多分今それするともっと怪しまれるって言ってたし聞かれた時だけ否定するしか無いよなぁ」
「確かに冷静に考えればそうなるか…まぁ、人気が出て来ている証拠だね」
「それは実際どーでもいい。俺は小夜が別に何とも思ってないみたいな反応に傷ついた」
「それは当たり前だろ?彼女にとっては私達は知り合ったばかりの仕事仲間だからね。」
「俺、今日の仕事できねーかも」
「それは私もだよ…」
「つか、撮るなら小夜と写せよ…」
そう言って俺達は無言で俯く。
多分前世での力が残ってたら絶対この週刊誌書いた会社ごと吹っ飛ばしてたな。
「あれ?」
聞き覚えのある声が聞こえ、頭を上げると小夜が近くに立っていた。
俺も傑も固まって何も言葉が出てこない。
「そういえば、言い忘れてたんですけど…この週刊誌に五条さんと出てる女性私知ってますよ?」
「「え」」
「私、この方にインタビューを受けて…確か今は記者の方に弟子入りしたって言ってたので」
「え、じゃあ狗神さんは俺らがこういう事してないって」
「知ってました…五条さんにメッセージを返した後に気づいたので言えなかったんです」
「よ…」
「よ?」
「良かった…まじで…」
「もう二度とこの記者のインタビューは受けないようにしようね悟」
「絶対そうする」
小夜が苦笑いする中、俺と傑は心底安心した。
ーーーーー…。
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