最強彼氏の弱点







私の彼氏は最強だ。
贔屓目とかじゃなく実際に最強の男なのだ。

同じ1年の悟に告白された時はかなり驚いた。
何で私なんかに?と思ったし最初は罰ゲームとか
そう言う類で私に告白したのかと疑心暗鬼になった。

でも私も悟を気になっていたし…
と思い付き合う事にした。

それから1年経ち、まだ私達は付き合っている。

最近は中々時間が合わず
2人で会う時間もなく不安な毎日が続いていた。

それでも私の誕生日にディナーを食べようとデートに誘ってくれて、それが凄く嬉しかったのに。



「どうしたんだろ…」



待ち合わせの場所に来ても悟の姿は見えない。
もう待ち合わせの時間から2時間は経ってる。
帰ろうかと思ったけど急な任務とかで遅れてるのかもしれないし、もし悟が来たらと思い帰れなかった。

私の誕生日は1月…。
空はもう真っ暗で寒空の下凍えそうになっていた。

連絡してみようかな…。



【何かあったの?】



そうメールを送ると直ぐに返事が返ってきた。



【何が?】

【だって今日約束してたから】

【何だっけ?それより今傑の部屋でゲームやってるから名前も来る?】



その返信を見た瞬間…私の心が崩れる音がした。
今考えたら最初からそうだった。

悟は付き合う時に言っていた…
夏油達に付き合ってるのは秘密にしようとか
2人で会うのは必ずどちらかの部屋の中にしようとか
だからデートだってしたのも数えるほどしかしてない。

私は脱力感に襲われてその場に立ち尽くす。

すると私からのメールの返事がなくて痺れを切らしたのか悟から電話が来る。



「はい」

「お前どこいんの?部屋にもいねーじゃん」

「居ないのは当たり前じゃない?」

「何で?」

「何でって何…悟が今日デートしようって言ったんじゃん。」

「あー…ま、今日はもう遅いし後ででよくね?」

「あっそ。じゃあもういいや。」

「早く帰ってこいよ」

「別れよ。ばいばい」

「は?」



私は電話を切り携帯の電源を落とす。
今日はもう寮に帰りたくない。

私は近くのホテルに泊まり
明日の朝帰る事にした。


◇ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー◇


「あー…最悪。」



朝、学校に帰り制服を着て鏡を見ると
昨日一晩中泣いていたから目が腫れて充血していた。

バレるかな?でももうどうでもいいか。
私はそう考え教室へ向かう。

すると教室付近の廊下に悟達が居た。

悟の姿を見るとギュウっと胸が苦しくなる。
大丈夫。今だけ…もう関係ないんだから。

私は悟の横を通り抜けようとすると
悟に手首を掴まれた。



「何?離して五条。」



自分で思ったよりも冷たい声が出た。
冷たい目で悟を見る。



「…昨日帰ってこなかったじゃん」

「で?五条に関係あんの?」

「…ある」

「ないでしょ。」


私がそう言うと悟はサングラスを取る。
私は悟の目を見て驚いた。

目が腫れて綺麗な瞳は充血していて目の下にはクマが出来ていた。

私が固まっていると悟は掴んだ手首をグイッと引き寄せ私を抱きしめた。



「ちょ、何してんの?夏油達見てる」

「別にそんなのいい」

「良くないじゃん!離して」

「離さない…やだ…別れねーよ」

「やだって…だって私が居ても居なくても一緒でしょ?なら私は傷つきたくない。」

「一緒じゃない。お前が隣に居ないとダメなんだって」

「でも私が辛い」

「もう辛くさせない。泣かせない。一緒にいる。別れない。やだ。」



子供のように不安そうな声で話し、
ギュゥウっと強く抱きしめてくる悟。
身体で離さないと言われてるような気がして
私は悟を抱きしめ返す。



「…もう我慢しなくていい?」

「いい。俺さ名前が初恋で…傑達にもからかわれるのとか嫌で…何も考えずに内緒にしようって言ってたけど」

「うん…。」

「本当は全人類に自慢したいくらいに名前の事ちゃんと好きだから」

「フフッ、それは言い過ぎ」

「言い過ぎじゃねーから。俺の本音。」



悟は抱きしめていた私から離れ
目を合わせて「誕生日だったのに…本当にごめん」そう言ってくれた。





その日からある意味大変だった。

夏油達にはペラペラと惚気るようになったし
周りの人にも私を自慢する。

記念日は私より細かく覚えてる。

少し私が悟から離れると不安そうについてくるし
何かと「別れない?」とか「別れないで」と言ってくるようになったり、どちらかに任務が入ると必ず2人で行くようになった。

「俺の唯一の弱点は〇〇だから」そう言ってくれる悟に恥ずかしいけど嬉しさが勝ってしまう。

今は寂しくはないし嬉しいけど周りの人には迷惑かけてる気がする。

大好きな最強彼氏はちゃんと私を幸せにしてくれている。





ーーーーー…。



戻る
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -