「浮かない顔してるわね」
「説明したでしょ。凄く困ってるの」
今話しかけて来たこの黒髪ロングのウェーブがかった髪をしている綺麗な子は山岸由花子。私が初めて友人…ううん、親友だと思い大切に思っている子だ。
由花子とは中学の時に初めて会った。
一目惚れみたいなもので由花子を見た瞬間に私は友人になりたいと思った。
雰囲気がどこか自分に似ている所がある。由花子にそう言われて気づいた。自分と同じ近寄りがたい雰囲気というのだろうか、そんな共通点があったからこそ私は由花子に話しかけたのだ。
学校が終わり由花子と一緒にカフェ・ドゥ・マゴに入り、私は今日あった事を話していた。
「困ることかしら?私は嬉しいのよ。ミヤと恋愛の話が出来るなんて夢のようだわ。」
「そんな事言われても困るだけ。今までこんな事は無かったのに。」
由花子は今本気で人を愛して恋愛をしている。お互いが好き同士ってどんな感じなのだろう。
由花子は恋をすると本気になりすぎて感情が抑えられなくなる所がある。そんな由花子と付き合っている広瀬康一は優しそうな小さい男の子だ。私からみたらよく分からないのだけど由花子いわく凄く魅力があるらしい。
「由花子はいいよね。幸せそう」
「私は今が1番幸せよ。大好きな康一君と一緒に居られるんだもの。」
そう言いながら微笑む由花子は本当に幸せそうで羨ましくも思う。由花子はそれにっと話しを続けた。
「もしかしたらミヤの初恋が東方仗助になるかもしれないのだから優しくしてあげたら?」
「ならないと思う。」
「分からないわよ。ならないと思いながらも今までに無い反応されて気になっているんでしょ?少しくらいいいじゃない。」
確かに由花子の言っている事も分かるが、私は恋を知らない。そもそも好きと言う感情が分からないのに初恋をするかもと言われてもピンとこない。
「とにかく、明日は自分から声を掛けたりしてみなさい。」
「えー…」
「えー…じゃないわよ。お昼もみんなで食べましょう?ミヤのお弁当も作ってあげる。いらないならいいのだけど」
「…ズルイ。私が由花子のご飯が好きなの知ってて言ってるでしょ」
そう言うと由花子は満足そうに笑って「そうよ」と言った。
明日は大変かも。と思いながらも由花子との約束が少しだけ楽しみになっていた。
ーーー。
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