私は立ち上がり桐島奏太を睨む。
目があった瞬間嫌な汗が頬をつたう。

仗助君は警戒しながら口を開く。



「誰だテメー」



そんな仗助君を見て桐島奏太はクスクスと笑いながら話始める。



「やだなぁ…ハエに教える名前なんて無いですよ。」

「…なんだと?」

「狗神先輩の周りをブンブン飛んでて本当に許せないんですよ。狗神先輩も俺がコイツらに会う前に急いで合流してるとか…悪い子ですよね」



その言葉を聞いて私は息をのむ。仗助君達だけでも本当は逃したかったし、巻き込みたくなかった。普通の喧嘩なら仗助君達は負けないと思ったけれど桐島奏太は違う。多分…私と同じ不思議な能力を持っている。

そんな事を考えていると、私の表情を確認した仗助君は全てを察したようだった。



「ミヤさんを階段から落としたのはテメーか。」

「違いますよ。俺はハエを駆除するとしか言ってませんし…むしろ腹立たしいです。俺以外の奴の為に狗神先輩が必死になってるとか…」



桐島奏太はそう言いながら私を見る。

その瞬間、私の身体は動かなくなり屋上での事を思い出す。やっぱり桐島奏太は不思議な能力を持っている…仗助君達に教えなきゃと思いながらも声が出ない。



「お、おい…仗助ェ…ミヤに付いてんのてよォ」

「なん…!?」


仗助君と億泰君の話を聞いてハッとする。さっきから身体を何かが這いずっているような感覚だけは少しあった…でも身体を動かせない私はその正体が何なのか分からなかった。目の前にその正体が現れるまでは…。



「っ!?」



私の目の前に現れたのは大蛇だった。
蛇は私に巻き付いてシャーッと言いながら口を開けた。だけど蛇は噛みつこうとはせずにそのまま固まった。



「あれ?見えるんですか?」

「テメー…スタンド使いか」

「ふーん…なるほど。この能力をスタンドって呼んでるんですね。…まぁ、そうですよ。俺のスタンドです…でもスタンドが見えてるって事は東方仗助と虹村億泰、あんた達もスタンド使いって事ですよね?この能力…スタンドはスタンド使いにしか見えないですから」



その言葉を聞いて私は驚いた。
仗助君達も不思議な能力を持っている事、その能力をスタンドと呼んでいる事、スタンドはスタンド使いにしか見えない事。その全てに。

自分以外の不思議な能力…スタンド使いを見た事が無かったし、人の前であの子を出した事も今まで1度もしなかった。

そんな事を考えいると桐島奏太は私を見つつ話を続ける。



「まぁ、見えたからなんなんです?別に貴方達がスタンド使いだからって俺は負けませんよ。あ、狗神先輩には怪我なんかさせませんよ?大丈夫。すぐに終わらせますから。」



桐島奏太はそう言って私に優しく微笑んだ。









ーーー。

prev next
back

×
- ナノ -