胸に残る一番星 | ナノ

  triumphal return


「これはね、シルビアからもらったんだよ、元気と一緒にね」

 明日のデルカダールでの凱旋パレードにて、あえて邪神と戦ったときの装備でも普段の服装でもなく、各々の勝負服で挑もう、ということになった。それはいい。血と汗にまみれた装備品も愛おしいが、やはり格好良く美しく振る舞いたいし、見ている人にはとびきり笑顔であって欲しいのだから。
 羽根と飾りがたくさんついた己の一張羅に不備がないか確かめていると、ふいに荷物袋から勇者が取り出した服に目を見張る。シルビアはそれに見覚えが、ある。というより全く同じものを持っている。いつか勇者に着せようと密かに決めていたそれが、何故か当人の手元にいつの間にかあって、馴染んでいるようにすら見えた。不可思議なことを、思い切って尋ねることにした。
 ねえ勇者ちゃん、その服どうしたの?
 そうしたら、こう返ってきた。曰く、シルビアからもらったのだとどこか懐かしそうに勇者は笑む。そんなことは知らない。だが知っているような気もした。疑うつもりは少しもないので、勇者がそう言うのならばそうなのだろう。自分は彼にあの服をあげた。どうせそうするつもりだったのだから、それでいい。

「じゃあ明日は、これ着て一緒にお立ち台に上がりましょうか!」
 デルカダールの皆を笑顔にしちゃうわよ!
 にっこりしながら意気込むシルビアに、勇者はうん、と頷いた。




ぶいじゃん25周年お祝い絵最高だった…ありがとう公式…ありがとうぶいじゃん…
180509

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