黒い乕
 薄暗い空に、生暖かい白南風が蕭瑟として舞い上がる。
 動もすれば、その音は女の啜り泣く声に聞こえなくも無い。
 天に、地に。
 そのように泣く声は数多あり、風が何処からか運んで来るのやも知れぬ。
 時は、今。乱世へと歩む道、半ば也。

 あぁ、天可必乎。
 己の手で剣を取り、勝ち取らねばならんのか。

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