そしてその瞬間、天から炎の雨が降り注ぎ、村は一瞬の内に灰燼に帰してしまいました。
 燃え尽きた村の中をドラゴンが飛び回り秘宝を探しましたが、やはりみつかりません。
 仕方無く、ドラゴンは若者の姿に戻り、国王の元へと向かいました。

「魔物は退治致しました。しかし、村は別の魔物に荒らされ、灰になってしまいました」

 若者は国王に魔物の後ろ足を献上しながらそう言った。
 国王は心を痛め、村の追悼式を開く事にしました。
 もちろん若者も参加しました。
 ですが、その追悼式に村の生き残りの男が現れ、こう言いました。

「あの若者はドラゴンだ! 我々の村を焼いたドラゴンだ!」

 式場の空気は一変し、若者は溜息を吐きながら国王を見ました。
 国王は信じられないと言った様子で若者を見て、村の生き残りに尋ねました。

「何か証拠でもあるのかね」

 生き残りの男は自身満々に首を縦に降りました。

「これを見てくれ!」

 言って生き残りの男が引っ張ってきた荷車の覆いを外すと、そこには大きな爬虫類の死体がありました。
 村を襲っていた魔物の死体でした。
 その死体には、深くえぐられた跡が三本走っています。まるで、ドラゴンの爪でえぐられたような跡でした。

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