四日目の朝。
 若者は長老に言いました。

「この村には、ある秘宝が伝わっていると聞いている。賞金よりも、そちらを頂きたい」

 長老は首を傾げました。
 この村にそのような秘宝があるなどと言った話が初耳だったからです。
 長老は素直に返答したものの、若者は信じてくれません。
 若者は怒って長老の家を飛び出して行きました。
 長老は後を追って家を出ましたが、そこに若者の姿はありません。
 再び首を傾げる長老の耳に、聞き慣れない大きな音が響きます。
 その音はこの世の物とは思えない低い音と、耳をつんざく甲高い音が混ざり合った奇妙な音でした。
 そして、次に何かが羽ばたく音がします。
 長老が見上げると、そこには空を多い尽くさんばかりの巨大な影が空を飛んでいました。
 伝説の中や、絵本の中で良く見かけるドラゴンの姿でした。
 若者の正体は、この巨大なドラゴンだったのです。

「秘宝は何処だ。隠せばこの村もろとも灰にしてくれる」

 ドラゴンは恐ろしい声で長老を脅します。
 しかし、本当に長老は知らないので、どうしようもありません。
 いくら本当に知らないのだと言っても、ドラゴンは信じてくれず、痺れを切らせて天高く飛び上がって行きました。

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