それに反応してか、リーは両手を軽く上げながら笑顔を見せた。

「私は共犯ではありませんよ。もし協力するつもりがあるのであれば、城へ通じる通路を兵達と一緒に見張っていました。逃げ出て来る者を片っ端から捕まえる為にね」

「では、弟の協力者ではないのだな。……一時的にで構わない。匿ってくれないか」

 下手に動けば兵達に出会いかねない。
 もし出会ってしまえば、戦う力など皆無である。
 このリーと言う男を心底信頼している訳では無い為、もし匿うと言おうとも、この屋敷からいつでも逃げ出せるようにしておかねばならないのだが……。

「もちろんです。王子、そして従者の方々、こちらへどうぞ。先程参られた方もお待ちしております」

 リーは私の手を引きながら、ゆっくりと歩き出した。
 暫く歩いたら離すと思いきや、リーが私の手を離したのは屋敷にたどり着き、立ち止まってからだった。
 屋敷は三階建てで、街灯に照らし出された姿は蔦が絡まり、見るからに古そうで怪しげな建物である。
 しかし闇の中に煌々と輝く屋敷の窓から零れる明かりは、ほっとした安心感を心に点す。

「さ、皆様方、今宵はゆっくりと我が屋敷でお休み下さい。流石に眠る事は出来ないかも知れませんが、個室に寝台とご用意しております」

 リーが屋敷の扉を押し開くと、眩しい光りが闇に慣れた瞳を貫いた。

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