第6話・錯綜








暫し睨み合いに縺れ込む事となった。
こうして改めて対峙してみるだに白衣の男の整った風貌が目に留まるが、彼の挙動はその全てを台無しにしているとしか思えなかった。
白衣の男は「今しがた遊びに来た」と家々の窓から乗り上げるようにモニターから浮かび上がり、悠々とこちらを手招きしてみせる。

「ジャック」

所長室でいやと言うほど脳裏にこびりついた低い声音。

冗談じゃない。

男の上半身はモニターを境にうねうねと蜃気楼のようにたゆたっていて、これ以上なく不気味だ。俺なんかに何の用なんだ。
残念ながら自分には前科も無ければ目立った肩書きもない。つまり利用活用に足るポイントがまるで見当たらない。要はこの男がわざわざ研究所を引っ掻きまわして俺をマークするメリットがまるで思い当たらないのだ。
本当に冗談じゃない。

「おや、中々にいけず」

わざとらしく腕を組んで男はむくれてしまった。
それでも何かを思いついたように画面の向こうへとさっと踊り込み、男は瞬く間に映像の住人と化す。
映像、というより鏡面に近い。ルームを丸ごと映し込んだ画面は憎らしいほど高画質だった。
男は爽快な笑顔を浮かべて、こちらに背を向け画面の奥へ奥へと歩み去る。
その先には「俺達」がてんで明後日の方向を睨み身構えていた。
背筋が粟立った。慌てて現実世界にて男の姿を探すも何処にも見当たらない。
男は構わずモニター内に投影された俺とアレクさんの目前で一礼するも、モニターに内蔵された音響が男の寒々しい衣擦れを拾うだけだ。やはり俺の感覚野には音響を介した音を差し置き一向に何も引っかからない。

「見えない」、「聞こえない」。段々と眩暈がしてきた。

俺が茫然と視線を投げているのを分かっているのか否か、男は舞台俳優のように優雅にこちらを振り向いた。にんまりと粘っこい笑みは画面の向こうから俺とアレクさんを認めて離さない。
そして振り返った拍子、男が着込んだ白衣の裾がアレクさんをさらりと撫でた。
アレクさんは指先ひとつ動かさない。しかし否応に警戒を強めたのかアレクさんの瞳だけは一層深みを増したように思えた。

きりきりと、金属で縁どられたサーティーンコードの瞳が絞られる音も聞こえそうな静けさ。

間を置かず白衣の揺らぎを追うように、見開かれたアレクさんの目の内でモスグリーンの強い明滅が踊る。
そして前触れなくぴったりと捉えた。
射るような視線とはまさにこれだ。現実の空間に男は影一かけらとて現れずにいたが、アレクさんは真っ直ぐに宙を見つめている。
いるのだ。そこに男は本当にいるんだ。

慌てて画面に目を戻すと、男とアレクさんの視線はがっちり噛み合っていた。
途端に身を削がれるような冷たい空気が2人から溢れ出す。
地に突き立てられた2本のナイフのように並び、けん制し合う。
男の真っ白な白衣とアレクさんのくすんだ紺の制服が並び、どこまでも対照的で対等な鮮やかさを極めた。

しかし男の表情は見えないにしても相変わらず笑っているのだろうし、アレクさんは殺気もしくは負の打算を思考し得ないロボットだ。更に言えば人命の奪取は彼らロボットのプログラムの内、最も上位の命令に組み込まれた「禁則事項」である。
あの男が果たして「人命」と呼ぶに足るかは定かではない。にも関わらず死地の悲壮さとは不思議と縁遠い匂いがルームに波のように広がった。

恐らく命のやり取りはこの場において重要ではない。互いにぶつけ合っているのはもっと、別の物。
それでも、もしも。

この場で1歩でも身じろいだら?この空気を内堀から、或るいは外堀から乱したら。考えたくはない話だ。


たっぷり間を置いて男の肩は愉快そうに震える。
浮世離れした足取りはそのままに、鷹揚にアレクさんの傍らを通りすぎて手近な椅子を引き寄せた。
男が画面の奥へと歩んだ先に置かれたその椅子。
ちょうど俺とアレクさんの背後に控えていたパイプ椅子だったが、まさにそちらの方位から実際に椅子の軋んだらしき音が反響する。無論現実にその音は露とも聞こえない。実際にそれらしく聞こえるのは恐らく背面のコンソールが発した怪音だ。
俺は危うく仰け反りそうになったが非常に癪なので画面から目を離さず身構えた。

画面に映り込んだ俺も寸分の遅れなく身体を強張らせる。
他人事のような光景だったが、モニターの向こうの青年も俺と同様に緊張を強いられていた。
そいつの首筋の境目、もといサイボーグのボディと俺由来の首を隔てる接合部も綺麗に映し出されている。本物のジャック・ターナーと寸分違わぬギザギザ模様だ。嫌な汗が律儀にそこを縫って伝う様子もまざまざと確認できて中々気持ちが悪かった。
首から下は勿論、眼球や脳の一部も入所直前を見計らって新調したというのに。軍部でほぼ最新のバージョンを宛がってもらった割りに、このボディは今日1日ろくな務めを果たしていない。
そこにアレクさんであれば相応の対応を為し得たときて居たたまれない気持ちになった。

この研究所の技術力が政府直属の軍事機関を凌駕している現実。その研究所のセキュリティをお遊びのようにすり抜けるこの男に対する不信感はひしひしと高まっていく。
この国を凌ぐ脅威はすなわち国のバイタルを揺るがすのだから。ひいては病に臥せる妹にも余波を及ぼす事になるのだから穏やかに済むとは思えないのだ。思わず暗澹たる気持ちも膨らんで戦意が失せるところだった。

何れにせよ、室内の至るところで頭を垂れている機器は皆一様に信用できない。所長室でフリーズを起こした少女型アンドロイドにしてもそうだったが、機械という機械は男の手中…

いや、アレクさんはどうなんだ。彼の合金で組まれた機械製の頭脳は無事なのだろうか。

思わず渦中のロボットを見上げた。
途端に眼下からずっしりと重い駆動音が轟く。警棒だ。
アレクさんの腰にぶら下がっていた警棒がフルにその身を伸ばして唸りを上げている。その音階は敵勢力を制圧する際に政府が公用する重電磁波系器具と似ていた。

重電磁波系器具とは特に精密機器、有り体に言えば無人兵器に対して爆発的な威力を発揮する防護対策である。
俺も一端の軍人として訓練課程で器具を扱った事があった。しかしどの形状の器具も簡単には扱えない重さで、アレクさんが携える警棒も恐らくは相当の鈍器である。

手馴れた動作でアレクさんは大ぶりな警棒をぐんと振り回した。
アレクさんのボディや頭脳がどのような装備を用いているのか定かではないが、余程使いこなしているのが見て取れる。
重厚な駆動音に呼応するように件のモニターはじりじりと画像を乱した。
一際その中央で男の姿形が壊れていく。
男を始点に画面全体が乱れ、今にも溶けてなくなりそうだ。

これならば勝算はあるかもしれない。
一抹の希望が胸に宿った。

アレクさんが警棒に力を込めるほどに纏わりつくような冷気が次第に薄れていく。
ふと、アレクさんが注視する先がきりきりとブレたように見えた。
いた。男はそこにいる。
俺は手元のシリコンオイルを揺らぎの渦中目がけてぶち撒けた。
先程までアレクさんと指の関節を整備する為空けていた品だ。

オイルは何かに巻き込まれ引き千切られたように、てんでバラバラの方向に散り乱れ宙で「何か」に張り付いては泡立ち、凝固を繰り返した。
これには手応えを感じて一握りの希望が更にかさを増す。
オイルがこんな反応を見せて寒気を助長するかのようだったが、それでも整備した両腕に今一度力が戻ったように思えた。
四散したオイルはパイプ椅子の上で重力を馬鹿にするように跳ね回った。
油脂の塊が椅子に落下したところを見て、今度こそと利き足で椅子を蹴り飛ばしテーブルごと吹き飛ばす。
そこだ。
宙に躍り上った熱線貫通用のコテを掴み取り、オイルが一際凝る一点目がけてそれを振り下ろした。見えない限りでは狙える標的はそこだけだ。賭けるしかない。

賭け。俺もこの場で生死を分かつ賭けを被る立場にあるのだろうか。
いや、この男はそも生命なのか。この場で何を賭けて笑うのだろう。
幽霊のように現れては脅かして、何を得んが為にこのような真似をしでかすのだろうか。

ザラザラとオイルより遙かに渇いたノイズがコテを、いや、コテを握りしめる俺の腕を覆った。
あの嫌な冷気が直ぐに後を追って全身へと這い上る。
思えばあの男、アレクさんと並んでも引けを取らない長身だった。夕方に昇る影法師のようにでたらめな長身痩躯だった。
気付いた時にはもう遅く、俺の眼前はてんで真っ黒に染まる。
俺よりもずっと上背のある男の、正確には男の影のみが聳え、俺の視界を覆い尽くして至極優しげな笑い声をあげていた。

「メンテナンス後の『慣らし』にはなったかい?少年」

眼前に散っていたのはどう見てもオイルだったんだが。黒い影はベージュの床からずるずると背を伸ばし、他でもなく俺が撒いたオイルはあっという間に人の手の形に凝固する。
かと思えば真っ白に濁ってしまった。
気が付いた時には男の白い手袋が形を得て、コテをがっちりと掴んでいた。

「これはこれは、折角差したオイルが焦げてしまう。冷やしてあげようか」

男は今度こそ俺の耳元で直に囁いた。
俺に遺された数少ない生身の器官に容赦なく不気味な低音がこだました。
無論声は聞こえど男の姿は手首を他にまるで現れない。

本当に冗談じゃない。
しかしこれまでかと、いっそ安堵にも似た生ぬるい諦めを感じた。
ひび割れていくコテを眺めてはため息しか出ない。アレクさんが話を切り出すきっかけとなったあのため息と同等の、長い長い呼気だった。
男が一息に笑い声を立てる。そんなにため息が愉快なんだろうか。
俺自身もこれは滑稽な光景だな、とぼんやり推していたのだから、今に笑われてもどうにも腹は立たない。

どうにも、どうにでもなれ。
幾ら妹の事が大切で、大切だからこそここまで来たとはいえ、戦地で投げ打つ筈だった命に何の価値があるって言うんだ。

俺は手早くいつもの祈りを唱えていた。いつものように、家族に贈るお祈りだ。
手短に心の内で繰り返した。ような気がする。
祈りの声は随分遅れて知覚した。
アレクさんが全てを薙ぎ払ってから漸く経って、やっとの事でだ。

ノイズが迸る。腹に響く残響はけたたましい。

「ジャック!」

鋭い一声が届く。
アレクさん、の声にしてはとてもアグレッシブな一喝だ。とても切羽詰っている。今度は何が起きたんだろう。

気がついた時には俺は水槽群の真上を跳んでいた。コマ送りのように着地。
俺を抱えるアレクさんの硬い腕が身に余る。あまりに流麗な動きに頭が追いつかず、やっとの事で俺は脱力した身体を立て直した。アレクさんはそんな俺をせっつくでもなく庇うでもなく、肩を貸して助力してくれた。

待機せよ。
彼の目が強く光って俺にコンタクトを送った。
おおむね指示はそんなところなのだが、いや、目を奪われている場合ではないのだけども、アレクさんの眼はどこまでも澄んでいて吸い込まれそうだ。
俺が目を閉じても瞼の裏でそのモスグリーンの奥行きが踊った。

本当に、この人はロボットなんだろうか?

どうにもそちらの方が気になってしまって仕方がない。白衣の男が水槽越しに足先まで形を得ている事より余程、胸が熱くなるトピックだ。

残念ながらアレクさんはこちらにぐるりと背を向けてしまい、グリーンの瞳は紺の制服から伴う痛烈な印象に掻き消えた。
白衣の男はそんな間髪を気にするでもなく、ゆっくりと水槽に沿いこちらへと歩を進める。ここに来て攻勢を弛める気などさらさら無いのだ。
アレクさんも男と歩調を合わせじっくりと詰め寄り、男の接近を制する。先程俺の身の安全は守ると約束してくれたからには二言はない。そう聞こえそうな確固とした歩みだった。

俺に広い背を向けてアレクさんは男の眼前に立ちはだかる。とても広い背中だ。全てが機械で出来ているとは思えない厚みである。

「誰の差し金だ。答えろ」

アレクさんがぼそりと問うた。本当に感情が宿ったかのように彼の一言一言は充溢した色味を帯びて止まない。
男はそれに応えてか、くっくっと鋭く笑った。

「君も随分と大っぴらな口を利くようになったものだ。風に飛び去った木の葉に向けて『誰に吹かれた』と問うようなものではないかい」
「お前の『出所』に関する証拠を押さえればこちらも公に動けるようになるんだ、答えるまでここから貴様を帰す事はできない」
「なら珈琲の1杯くらいは出してもらわねば困るね。ここは珈琲が美味い事以外に得手があったのかすら怪しいというのに」

途端、男が突風に吹かれたように仰け反った。アレクさんの「苛立ち」を表すかのように警棒は硬く高く唸りを上げ、男の眉間に突き付けられる。

「誰の差し金かと聞いている」

カチン、と警棒の中で何かが噛み合う音が漏れる。
これ以上ない衝撃を伴って「苛立ち」は形として表出した。
男の像は激しく乱れ、後方のコンソールまで破片が吹き飛んでいく。
ほんの少し反動に倣ってアレクさんの腕が跳ね上がったが、ここに来ても彼は警棒の重量はまるで感じさせず、軽快な動きを保っていた。

男は多少の驚きと共にバラバラになった両足を眺め、その場に浮遊する。
そこへアレクさんが間髪入れず顎に警棒を押し当て、ぐいと頭を持ち上げた。
落ちた視線を拾い上げるように。
アレクさんの鋭い視線が男の目を縫い止め、しかと抉った。

『アレクさん』
『大丈夫だ、この男はもう何もできない、じっとしていなさい』


アレクさんを相手に初めての個人間通信がよもや、こんな事になるとは思わなかった。
男の断片は質の悪いホログラムのようでもあるし、海中でサメにバラされた餌のようでもある。
当の男は相変わらず挑戦的ににやついているし、本当に現実味のない光景だ。

「今日は随分と思い切るものだね。君の成長は著しい」
「誰の差し金かと聞いている」
「台風を2つ、3つ呼んでご覧。終いまで君の求める答えがそっくり揃う」
「応援は既に呼んであるぞ、今の内に回答しておいた方が身のためだ」

ざりざり、じりじりとアレクさんの呼び声に合わせて男の像がノイズを立てた。そこへ少しだけ、男の声のトーンが落ちた気がした。

「気を付けた方が良い。トラツグミが鳴いてからでは遅すぎる」

自身が崩れていく様を哀れんでいるのだろうか。すい、と男の目線が力を失ったかのように地へ沈むのが見えた。
ほんのひとときだったが。

「いつになったらお前は本題を語るんだ?」
「ああ、トラツグミは明けにとても甲高い声で泣くんだ、ああジャック、」

ぎょっとして俺はアレクさんの影から身を乗り出した。
アレクさんは「まだ駄目だ」と俺を挙動でいなしたが、男の歌うような口調は元通りの軌道を描いて俺を直撃した。
先程まで脱力していた目は爛々と無機的な輝きを取り戻し、俺の心を鷲掴みにした。

「君に頼みたい事があって来たんだ、それも山積みのリクエストだよ」

だから何の話だ。俺はこの男の事をまるで知らないというのに、男は一体俺の内に何を見ているんだ。
男はまた優しく微笑んでついっと手を伸ばした。こっちへ来い。そう言いたいらしい。

アレクさんの怒号が轟く。共にざらりと男の腕は崩れ落ちた。

「この子を巻き込むんじゃない!貴様にだけは手出しさせてなるものか!」

風もないのに男の身はザラザラと粘っこく警棒に、アレクさんの腕に絡む。所長室で組み敷いた時とは真逆の脆さだった。
そしてアレクさんの「怒気」。機械が感情を持て余している。先程まで優しく諭すように俺を護っていた人間、いや機体と同一な個体とは思えない程荒立っていた。
男の笑顔はしゅん、と成りを潜めたように見えた。
怯むというよりがっかりとしてやる気を失った子供のような転調である。へし折れ霧散した左腕をじっと見つめ、男はため息を吐いた。

アレクさんを見て、俺を眺め、どこともつかぬ中空へ、ついと首をかしげるように男の目は移ろう。
俺まで男の些細な気まぐれに乗せられそうだ。アレクさんよりも生気を感じさせない男の双眸には何故か惹きこまれるものがあった。
恐らくアジア系の、この帝国なら大概「良家」か「海尊」にルーツを持つ人種だ。青白いがその肌は黄色系の血がとても濃い色味である。双眸自体は恐らくアーモンド・アイに属する、黒く鈍く光る瞳がよく映える形だ。

何故か一度はぽっかり穴の空いた男の喉笛を思い起こした。今は本人の首には傷一つ見当たらないが、ひとたびはぽっかりと空いて、緑の血を流れ落として止まらなかった傷口。
あの目の奥にもあんな穴が空いているのではなかろうか。そして眼底には脈々と暗緑色の血が流れ伝っている筈なのである。
男の瞳はあまりにも黒い。何が潜んでいても不思議ではないような気がした。

「…あんた、俺と会った事があるのか」

気が付いたらぽつりと、男に問いかけていた。男に何かを感じた。もっとも感じたものの正体を追う余力は今の俺にはない。
男の口元に微かに笑みが戻ってきた。

「会った事が有ったなら救いもあっただろう」

歌うような冗談のような物言いはそのままだ。
恐らく戦地で何度も。何度も。
俺はあの笑い方を見た事がある。
見送った事がある。
いつも行く末は白と黒に彩られる記憶が数多蘇った。墓に葬られた同僚達が浮かべた微笑とそっくりだ。
脳裏を次々とモノクロの記憶に占有されて眩暈が起きる。しかし矢継ぎ早な通信がそれを許そうとはしない。気を失う暇もない。

冗談じゃない。

『逃げなさい』
『メッセージを受信しました』
『差出人:トラツグミ』

アレクさんの個人間通信、そして身に覚えのなさ過ぎる受信メール。
全ては俺の手の外で進んでいくのだ、と嫌になるほど痛感した瞬間だった。指令、指示、命令、あらゆるメッセージが錯綜する。どこにいても変わらないじゃないか。

『件名:受け取ってくれるね。君になら何だってできる』
『SUB:私は安濃津という。この大きな木偶の坊にその名を訊いてみると良い』

IDを教えた記憶などてんでないのだが、トラツグミもとい白衣の男のメッセージはとてもスムーズに受信され、俺の電脳内でこだまするようだ。

男の姿が砂細工のように崩壊し霧消する。網膜に次々と投影される文字列の向こうで跡形もなく。
しばらくはその光景が俺の夢に繰り返し投影される事となった。


それから数日おきに続いた現象である。


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