許されざる呪文 .4 「……いままでと違うタイプの先生だね」 六人で廊下を歩きながら、リンが言った。ちょうどそのとき、「すごかったな」「あっという間に死んじゃった!」「ほんと、おもしろいくらい、コロッとね」という妙な興奮に満ちた会話が、リンたちの後ろからやってきた。 「ジャスティン、大丈夫?」 不意にスーザンが聞いた。ジャスティンは素っ気なく「なにが?」とだけ返した。スーザンは心配そうな顔で、慎重に言葉を選んで口にしていく。 「だって、あなた、授業の途中からずっと、すごく顔色が悪いから……」 「べつに……ただ、ちょっと、」 「まったくおもしろくない授業だったね」 「……はい」 遮るようにリンが言った。ジャスティンは、力なく、しかしどこか安心した様子で頷いた。リンは興奮しているクラスメイトを一瞥しつつ、口を開いた。 「外傷もなく、一瞬で時間を止める……まるで、バジリスクの眼光みたいだった」 「……ええ。僕も、思わず思い出してしまいました」 ほかの四人がハッと息を呑み、微妙な沈黙が流れた。数秒した後、溜め息をついたリンが、ジャスティンに「大丈夫。君が何かに襲われたら、今度こそ全力で助けに行くから」と声をかけ、その場を収めた。 シリアスから一転してハイテンションで纏わりついてくるジャスティンは、仕方がないので許容した。 |