試合後の団らん .2



「そんな目で見るなよ、チャーリー。とてもハンサムな人だったから見てただけさ」

「……ヴィーラには目もくれてなかったのに?」

「スフィンクスも、見た目は美しいけど正体はえげつないからね」

 ニッコリ笑ったビルに、チャーリーは口を閉じた。ただし「スフィンクスって美しいのか……?」という呟き声が、かすかに聞こえてきたが、スイの悲鳴に掻き消される。

「リンのおじさん、ヒーラー(癒者)なの?」

「うん。名癒だと思うよ。……昔、ひどい怪我をしたけど、きれいに傷痕なしに治してくれた」

 ジニーの問いに、リンは少しだけ目を伏せて微笑む。その肩の上に何かがのしかかってきた。

「なあ、リンのおじさんってことは」

「そのハルって人は、ジンの親父さんか?」

「そうだよ。フレッド、重い」

 リンは、双子の片割れを肩から払い落とした。そうして、双子を見てふと思い当たったことを口にする。

「そういえば、今年、君たちによく似た悪戯小僧たちが入学するよ」

「は? ホグワーツに?」

「うん。私の従弟たち。ハルさんの第二子と、アキさんの第一子。見た目はあまり似てないけど、やることは息ピッタリなんだ」

 ふぅん……と、フレッドはニヤニヤと、ジョージは感慨深げに、揃って相槌を打つ。ジニーが「どの寮かな」と考え出すのを見て、リンは笑った。

「たぶんグリフィンドールだよ。レイブンクローにしては、弾けすぎだから」

「やめてくれ」

 また問題児が増える……と、パーシーが頭を抱えた。もう卒業しているから関係がないことをリンが指摘すると、彼は「そういえばそうだった」と我に返った。すごい監督生気質だと、リンは思った。

「さて、そろそろ人も少なくなってきたころかな」

 不意に、ウィーズリー氏が椅子から立ち上がった。階段を見下ろして、子供たちを振り返る。三人でなにやら話していたハリーたちも、視線をウィーズリー氏に向けた。

「テントに帰ろう」

 指示に従って、みんな立ち上がる。リンは、ようやくビルの手からスイを回収した。ぐったりしたスイが、もの言いたげに、じろりと睨みあげてくる。

「……忘れてたんだよ。ごめん」

 淡々と謝罪するリンに、スイは、フンッと鼻を鳴らした。



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