処刑宣告と対抗表明 (5)



「あぁ ――― こんにちは、バックビーク」



 手紙で主題となっているヒッポグリフが、リンの身体に頭を押しつけてきた。礼儀としてお辞儀をしなければと思ったリンだったが、お辞儀をするのに十分な距離を空けようと後ろに下がる度に、バックビークが距離を詰め、何度か試みた果てには、バックビークが恨みがましそうな目でリンを見つめてきたので、諦めた。


 彼(彼女?)がいいならいいかと結論を出し、リンはバックビークの嘴を撫でた。ヒッポグリフは心地よさそうにトロンと目を閉じた。可愛い奴だとリンが思っていると、向こうの方でハグリッドが叫んだ。



「おまえさんらは『危険生物処理委員会』ちゅうとこの怪物どもを知らんのだ! 連中はおもしれぇ生き物を目の敵にしてきた!」



 どうやら、ハリーたちが手紙を読み終えて、ハグリッドに声をかけたらしい。すっかり興奮しているハグリッドにどうしたものかとリンが悩んでいると、バックビークが鋭く鳴いた。リンが手を休めたことに怒っているようだった。



「……好かれてるね、リン」


「……そうみたい」



 リンが再びバックビークの頭を撫で、小屋の隅に置いてあった動物(スカンクかなにかだろうか?)の死骸を与え、バックビークがそれを食べ始めたのを確認してハグリッドの方へ戻ってきたとき、ハリーが苦笑いを漏らした。スイが尻尾を苛立っているようにビシッと振ったのを見たリンは、曖昧に返した。



「ハグリッド、お茶でも淹れようか?」



 声を張り上げてオンオン泣くハグリッドに手を焼くロン、ハーマイオニーの姿を見て、リンが言った。



「気が動転してるときには、温かい飲み物が一番の薬なんだよ」



 それから何度も四人に「助けてあげる」と約束してもらい、目の前にポカポカのお茶のマグカップを出してもらって、やっとハグリッドは落ち着いた。今度は涙の代わりにちょっとした愚痴を零したが、まあ許容範囲内だ。


 ちょこちょこ相槌を打ちつつ、リンは寄ってきたファングを撫でたり、それを見て触発されたのか催促してきたバックビークを撫でたり、拗ねたスイを撫でたりしていた。




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 バックビークの性別って、雌雄どちらなんでしょうね……ご存知の方は、教えてくださると助かります。



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