友人の見舞い(2)



「こんばんは、ネビル」


 マダム・ポンフリーに案内してもらってベッドに行くと、ネビルが惨めそうな、沈鬱な顔をして、横たわっていた。


 リンが挨拶をすると、ネビルはリンを見て、ぽかんと口を開けた。


「……リン? どうしてここに? 君もどこか怪我をしたの?」


「ううん、ネビルが怪我したって聞いて、気になったから、お見舞いに」


 もしかして迷惑だった? と首を傾げると、ネビルは、ぶんぶんと首を横に振った。


「まさか! すごく嬉しいよ!」


 頬を紅潮させて、本当に嬉しそうに笑っているネビルを見て、リンも笑った。鞄の中から、ナプキンに包んだ夕食を出して、ネビルに差し出す。


「お腹すいてると思って、持ってきたよ。ステーキとかは、さすがに無理だったけど、ほら、パンにパイ、チキンなんかもあるよ」


 かぼちゃジュースの瓶もベッド脇のテーブルに置く。ネビルは小さく歓声を上げ ――― 大声で騒ごうものなら、瞬き一つでマダム・ポンフリーが飛んできて二人を追い出すだろう ――― 食べ始めた。


「ありがとう、リン。僕、今日は何も食べずにベッドに行く羽目になると思ってた」


 チキンを頬張るネビルに、リンは曖昧に微笑んだ。


 ネビルの言い方からすると、ひょっとしたら誰も見舞いに来なかったのかもしれない。ネビルがトラブルを起こして怪我をするのが、グリフィンドールでは日常と化してしまっているのだろうか。本人なりに一生懸命やっているのに、なんて不憫な。


 デザートに、糖蜜パイとジャムドーナツを数個ずつテーブルに置きながら、リンは心配そうにネビルを見て、窓越しに月を見上げた。


 優しくていい子なんだから、もう少しだけでも、運がネビルに味方してくれればいいのに。そう思った。


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