新生クィディッチ・チーム (3)



「セド、次」


「……僕よりヴィックの紹介を先にすべきだと思うけど……え、いいのかい? ごめん、ありがとう、ヴィック」



 先ほどの男子生徒と会話を交わして(相手は、ただ首を縦や横に振っただけだったが)、セドリックは、ニッコリとメンバーに笑いかけた。



「僕は、セドリック・ディゴリー。五年生で、去年までシーカーをやってたけど、今年からはキーパーになったんだ。よろしく。……ここでヴィックかな?」



 今度はエドガーの右隣(そしてリンの左隣)に立つ、金茶色の髪の男子生徒が指名された。ヒョロリと背の高い、焦げ茶色の角張ったフレームのメガネをかけた男子生徒は、小さく口を開く。



「………、ヴィクター・ボルト。七年生。チェイサー」


「……あー、ヴィックはちょっと人見知りで……うん、軽いコミュ障ってとこだな」



 小さな声で必要最低限のことしか言わず、ニコリともしないヴィクターの肩に腕を回して、エドガーがフォロー(と言えるかは謎)を出した。



「でも、こいつのプレイはすっげぇぞ! みんな見てきただろ? 去年とか一昨年とか、超クールだったろ? な?」



 必死な様子でエドガーは言った。新しいメンバーがヴィクターに悪い印象を持ったら大変だと思っているのだろう。


 リンはべつにヴィクターの無愛想さを気にしなかったが、ただ、七年生の彼を差し置いて五年生のエドガーがキャプテンに選ばれた理由が、少し分かった気がした。


 誰も反論しなかったので、エドガーはまたもや太陽のように笑って、セドリックの左隣へ目を向けた。なぜこんなに頻繁に笑えるのか、リンには疑問だ。そこまでするなら、いっそ、ずっと笑っていればいいのに。



「おし、次、ロル?」



 胸のガッシリした、茶髪がボサボサ跳ねている男子生徒が、半歩分だけ輪の中央に出た。



「ローレンス・フロントだ。五年生で、もう二年くらいビーターやってる。通称ロル。よくフリントって間違われるけど、あいつと一緒の苗字じゃないからな」



 どうでもいいが、という調子で、さりげなく、しかししっかりと言うローレンスに何人かが笑った。エドガーもそのうちの一人だった。彼は笑いすぎだと、リンは思った。



→ (4)


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