見つけた有望株 .2 セドリックが見つめる先で、エドガーは、ツンツン立っている髪を指でいじり出した。かなりの硬質のため、セットせずとも勝手にツンツンしてしまうのだと、いつもこっそりぼやいているのを、セドリックは知っている。 「………あいつの髪は柔らかそうだったなぁ……」 「……セクハラで訴えられないようにね」 「問題ない。あくまでスキンシップと言い張れるギリギリのラインでやる」 「……………」 「やめてくれセド。ひたすら無言で見つめられるの、一番つらい」 参ったと手を上げるエドガーに、セドリックは瞬く。言葉に詰まり、何と言うべきか考えていただけで、別にダメージを与えるつもりはなかったのだが。しかし、うまく訂正できる自信がイマイチないので、そういうことにしておく。 「……ずいぶん、リンを気に入ったんだね」 「おう。俺の読みじゃ、あいつ相当な逸材だぜ。うちのクィディッチ・チームに入れたい」 エドガーの言葉に、それまで別の話をしていたチームメイトたちが、こちらへと視線を向けてきた。特に、キャプテンの目が光っている。 「箒の腕は確かか?」 「だと思うぜ。去年ウッドが、いきなり力説してきたからな」 「なるほど。あいつのお墨付きか」 ウッドの名前が出てきたので、キャプテンは情報を信用したようだった。クィディッチに関しては、ウッドがもたらす情報が一番なのである。すごいな、と、一人セドリックは感心した。 「今年は無理だけど、来年とか引き入れたいよな……キャプテンたち、卒業するし」 椅子の背にもたれて、エドガーが呟いた。キャプテン含めた三人の生徒が、顔を見合わせて苦笑する。 「空くポストは、キーパーとチェイサーだなー」 「女子となると、やっぱりチェイサーをやらせるのか?」 「いや、できれば……俺の個人的意見なんだけど……シーカー、やってもらいたいな、と」 エドガーが、気まずそうにセドリックを見た。ほかの面々も、つられるように目を向けてくる。視線を受けて、セドリックは、ニコリと笑った。 → (3) |