For me…《ピスメ:土沖》


 
「ごほっげほっ…ごほっ」


 夜中息苦しくて目覚めた途端に咳が出てきて止まらなくなっちゃった。堪えようとしても後から後から出てきて余計に苦しくなってくるんだから…嫌な体になったもんだ。

 あーあ、ホント何でこんな体になっちゃったんだろ。

 白湯を飲みに行こうと立ち上がり、廊下を歩いていくとある襖から明かりが漏れてた。

 まーだ仕事してるんだ。





【For me…】





 ついでだからと明かりを漏らしていた主、土方さんにお茶を淹れて持ってってあげた。


「土方さーん。こんな時間までお仕事ですかー?」

「総司…茶を持ってきてくれるのは有りがてぇがんな後ろから抱きつくんじゃねえ…」

「ふふ、仕事も大概にしないと体壊しちゃいますよ?」

「………お前に言われたかねぇよ」

「ですよねー。私はもう壊れちゃってますもんね」

「っ!!」

「…そんな顔をしないで下さい。鬼の副長と呼ばれる方がそんな顔をしていたら他の隊士に笑われちゃいますよ」


 私の体はもう普通の体じゃないのはわかってますよ。後一年。運が良ければもっと長く生きられるかもしれない。この人はそのことを知る数少ない人。少しの間の沈黙、いや静寂が私たちを包み込み、先に口を開いたのは土方さんで、あまりにも唐突なことを聞いてきた。


「お前は…死ぬのが怖いか?」

「え…」


 思わぬ問いにきょとん、として土方さんをみた。だけどその時の土方さんの表情はひどく悲しいものでつられて私も悲しさを表に出してしまいそうになったけど堪えた。この辛さ、悲しさ、私の持つ病気に対する弱音を出すわけには行かない。ましてや土方さんになんていえるわけがない。

 心配させたくない。


「俺はな、正直俺自身が死ぬのは怖くねぇ。だがな…」


 言葉を詰め後ろから抱き付いていた私を土方さんは正面に座らすように促す。


「俺はお前がいなくなるのは耐えきれねぇ」

「………」


 こんなことを真っ直ぐに言われたのは初めてだし、しかも大の大人、鬼の副長土方歳三から。その目にはうっすらと涙が浮かんでいるようにもみえて……思わずふと笑いが漏れた。

 何でこんなにも思われてるんだろう。

 無意識のうちに土方さんを抱きしめていた。


「心配しなくても、まだどこにも行きませんし行くつもりも…っんン」


 抱きついた途端噛み付くような口付けをされ押し倒されと思ったら覆いかぶさるように抱きしめられた。安心できる人の温もりは大好きだ。


「そんな無闇に抱きついてくんな。抑えんのも大変なんだよ」


 顔を見なくてもわかる。相当真っ赤なんだろうな。普通の日常では見られない土方さんを私は見ることができる。そんな優越感と嬉しさ。
 ぎゅっと抱きしめ返せばそれ以上に抱きしめられた。


「そんな私に抑えなくてもいいんですよ…?」




「んっあ、あぁ!んンっふぅ…ぅあア、あ、あぁ!」

「総司、もう少し緩めろ」


 そんなことできるわけないじゃないですか!!あなたの突っ込んでんですからねっ
圧迫感が凄くて苦しくて、出てくるのは喘ぎ声と汗と涙だけ。そんな状態なのに緩めることなんてできませんよ!!なんてことも言葉に出すことなんてできないんだから。
デカすぎなんですよ!

 でも、ちゃんと私に気を使ってくれてるのはわかるんですよ。
こんな土方さんが大好きです。

 私のために悲しんでくれて私を愛してくれてる土方さんが大好きなんですよ。










この想い、届いていますか?





―end―





―――――
あとがき
―――――
何か凄いシリアスになってしまいましたね…。
沖田さん凄い好きです!!あのキャラいいなぁ。
このカプでまた何か話が書きたいですね。この二人ならギャグがかけない私でもギャグが書けそうな気がします。気がするだけです。
機会があればまた気ままに書くかもしれませんがその時は気ままにスルーしてやって下さい!!!





09/03/23

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