隠れて握ったもの


 
 バァンッ

 と、万事屋の戸が思いっきり開かれ、ズカズカと無遠慮に上がってきたのはS王子こと、沖田総悟だった。


「おいぃぃいいっ!!何勝手に上がって来ちゃってんのぉぉぉぉ!!?」

「旦那ァ、少しばかり邪魔させてもらいますぜ、そして俺をかくまって下せェ」

「ちょっおめぇ俺の話し訊いてる?」

「旦那ァ、パフェ一年分でどうですかィ?」

「よーし!どこでも好きなとこに隠れろ」

「流石旦那。話しがわかる」





【隠れて握ったもの】





 そう言って隠れる総悟。やっと隠れ終わったつかの間、またバァンッと戸が思いっきり開かれた。


「おい万事屋ぁ!総悟の野郎来てねぇか!!?」


 さっきの総悟と同様にズカズカと、しかも土足で入って来たのは土方十四郎だった。そうとうキレている様子で、手には抜き身の刀が握られている。


「ちょっとぉぉぉ!!!何土足で入って来ちゃってんのぉぉぉぉぉ!!?」


 俺の家が汚される……。と半泣きになりながらキレる銀時。それを隠れて聞いていた総悟がいや、いっつも汚れてるんであんま変わんないですぜ、と、脳内でツッコミを入れる。


「総悟は来てねぇのかよ?」

「だーかーらーぁ、見ての通りここには俺一人なわけ。てめぇの目はふしあなですかコノヤロー」

「……お前一人なんだな?」

「さっきからそう言ってんだろぉ」


 気の抜けた声で言う。ふと、土方の顔を見てみると、口端を上げて何かを思いついたように笑っている。不気味に思い、銀時はその場から数歩後ろへ下がる。が、土方はそれを許さなかった。傍らに刀を放り投げ、一気に銀時に詰め寄ると、グイッと銀時の腕を掴み自分の胸へと引き寄せた。


「ぅわっ……えーっと、これはどういうことなんでしょうか?」

「どういうことってそりゃあな、誰もいないならやることなんか一つに決まってんだろ」

「はっ!?……っうわ、ん、んンッ」


 唇を重ねられ、文句の一つも言えなくなった銀時は、少しでも抵抗しようとまだ自由な腕で土方から逃れようとする。だが、その抵抗も虚しく、土方が唇をついばむように軽く吸いあげられる。
 んなことをされたら何にも考えられなくなって力も入らなくなるだろーが。


「はぁ……ぅんン、ゃめっやっあぁ……だめだ、つって…んだろ…ぁあつ!!」


 そんな会話を、まだ隠れている総悟が聞いていた。そして総悟は思った。仕事サボって恋人との性交を楽しんでいる副長の弱みを握った、と。
 だが総悟が隠れていたところから出られたのは土方達の性交が終わった、明け方頃だった。



 そして総悟は誓った、





 絶対に万事屋の旦那のとこには身を隠さない、と。




―end―




―――――
あとがき
―――――
先ほどふと思いついた小説です。エロくないですね。スイマセン…。エロを入れようとすると、すごい長くなりそうだったので、省きました。

そして、何で総悟が土方にキレられていたのかというと、ちゃんと理由があるんです。それは…



総悟が土方のマヨネーズをすべて使い物にならなくしちゃったからです。詳しくはあんまりかんがえてなかったんですが、そのことでブチギレた土方が総悟を追い回していたというわけなんです。

ですが土方は銀時に会ってそんなことどうでもいいと思ったわけです。総悟よりも銀時の方が大事だってことですね。

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