夢幻、それでも現実《銀誕》
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銀時誕生日小説。
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「別れよう」
そう目の前の恋人に言われた。少し悲しそうな表情をして俺を見ている土方。何で急にそんなこと言うんだよ…。
今日…今日は、俺の誕生日って知ってんだろ?祝って…くれないのかよ?なぁ…何で……んなこと…。
【夢幻、それでも現実】
ぶんぶんと首を振り、嫌だ、と何度も繰り返す。だが俺の思いも届かないまま土方はただすまん…と呟くばかり。
そんな言葉が聞きたいんじゃない…。別れたくない!
涙が溢れてくる。頬を伝う涙は途切れることなく落ちていく。
嫌だ…嫌だ嫌だ。
「嫌だ!」
自分の叫びで目を覚ます。はぁ…と息をついて上半身だけを布団から起こし、顔に張り付いた前髪をかき揚げた。
何だよ…この妙にリアルな夢…。よりによって俺の誕生日に観る夢じゃねーだろ。正夢だったらどうすんだよ…。……な、なるわけねーよ…な?
嫌な不安が俺の中で燻っている。そんな不安を俺は考えないようにした。
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日も沈んでしまってから大分時間がたつ。俺は独り、電気も点けずに暗く、静まりかえっている万事屋にいた。昼間は神楽や新八やその姉、しまいにゃ下のババァまで上に上がってきて俺の誕生日を祝うっつってどんちゃん騒ぎを始めやがったが、それも一時の間だけ。
万事屋での祝いに飽きたのか知らねぇが、勝手に上がり込んで騒いだと思ったら二次会だとか行って俺が主役の筈なのに俺を置いてさっさとどこかに行っちまった。
それから俺は独りでいる。
電気も点けずに待っている。
ただ独りの俺の恋人。
「土…方……」
ボソリと呟いてみる。あと数時間で俺の誕生日は終わってしまう。カチッカチッと規則正しく時を刻む時計の針だけが異様に耳に響いてくる。俺の誕生日には会えないかもしれない。会いたかった。正直今日位は仕事を休んで欲しかった。一日中一緒にいたかった。
デートとかそんなことは望まない。傍にいて欲しかっただけ。そんなことを考えると、頬に涙が伝った。どんどん溢れ出してくる涙は今まで忘れていた今朝の嫌な夢を思い出させた。だが目の前には悲し気な表情の土方はいない。今、鮮明に蘇ってくる夢は俺を不安で押し潰そうとする。
「んで来ねぇんだよ…」
声にもならない位に呻いた。それは暗い闇に吸い込まれる。こんなにも大事な人が出来るなんて思わなかった。誕生日を一緒に過ごして欲しいと思う恋人が出来るなんて思わなかった。
こんなにも自分の中で大きな存在になるなんて思わなかった。
涙を拭わないでいるとぼたぼたと涙が滴り落ちてきた。不意に遠くから階段を駆け上がってくる音が聞こえてきた。まさか、と玄関の方を見るといきなり戸が開かれた。
「すまん」
荒い息をつきながら近づいて、俺の目の前に来てもう一度すまん、と言った。
来てくれた。日付が変わる前に急いで、走って来てくれた。
……俺のために。
そう思ったら余計に涙が溢れてきた。さっきまでの不安からじゃない。土方が来てくれたことによる安心感と嬉しさから。土方はそっと俺を抱き締めて耳元で囁く。
「遅れた…けど誕生日、おめでとう…」
照れくさそうに言う土方に俺は解らないように少し笑った。
「何泣いてんだよ」
「嬉し泣きだっつーの」
それを聞いた土方はにやりと口端を上げて笑った。
「ふーん。俺がいつまでも来ねぇから泣きべそかいてんのかと思ったぜ」
「なっ!ちっ違ぇし!!」
俺の反応を楽しむように眺めた土方は、ぐいっとお互いの唇が触れるギリギリのところで低く囁いた。
「プレゼント、欲しいだろ?」
言い終わると同時に口を塞がれた。くちゅ、と滑り込んできた舌に自分の舌を絡ませる。もう、それだけで俺の下半身は反応する。
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「っあぁ!やっは、んンッ!」
「プレゼント、欲しいんだろ?」
「ひ、っ…ひじ…か、た…ぅあってめ…い…かげんに…ふっ!あ、あぁ!」
「まだまだ、これからお楽しみが待ってんだからな」
「も、無理っ…つって…んっはぁっはっ!あァア!」
…いつの間にか俺の誕生日過ぎちゃってんですけど〜…。
ま、いっか。
急いで俺に会いに来てくれたんだし。
今度がっつりと甘いもんねだんねーとなぁ。
ピッチャーにてんこ盛りの特大パフェとかvV
ヤベー。
超美味そうなんですけどー。
あー、糖分摂りたくなってきた。
つか土方のヤローケーキも何もなしか!?いや、持ってたか?
兎に角今は糖分摂取しなきゃなんねーよ。
―end―
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あとがき
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遅くなってしまい申し訳ありません。
銀時の誕生日小説…。
なんですが、最初にサイトにアップしたのは一日過ぎ頃。
そして今頃再アップです…(+_+)
しかも内容大分変わってるっていう。
前はもっとエロが多かったんじゃないかな?
08/11/24
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