PDoC0001




 神代淳からの命で運ぶことになった歪な肉塊を前にして、いくらこの村の異常に対処しているとはいえ、平常を保ちきることはできなかった。だが、仕事は仕事と割り切るしかないのだ。いつものように、車のトランクに放り込み、地下に幽閉するだけである。手に持った感覚の気持ち悪さが、ハンドルを握っているというのに、何度も思い返される。胎動を感じた。不正脈のようで、命の形をなしていないのに生きているような。生ぬるい温度を感じた。布に包まれたはずの物体が、柔らかな肉を直に触れさせているような。
「らしくない・・・」
いつもより、道を速く過ぎ去っていく。汗が溜まって、だらりと頬を伝った。外は雨で、至極視界は悪い。病院はもうすぐそこに迫っていた。扉を開けて、体中を濡らす雨粒も気にせず、彼は自分の任務を遂行していく。古いアスファルトの匂いが、鼻をツンと刺激した。






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