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なんか腹立つな。




『銀時。その羽織りは絶対脱ぐな』


もしもワールドの話を名前と歩きながら話した僅か数秒後。それが現実となって目の前に現れた。噂をすればなんちゃらとは違うかもしんねぇが、感覚的にはそれに近い。上司の危機迫る声に反応した名前がもれなく俺と一緒に瞬歩で直行。相変わらずの有り得ねェ速さで剣筋見切って多串くんとイケメンAの間に入ってた。声を聞いてから間に入るまでのその間、僅か5秒。とても人間技と思えねェよアレ。あ、人間じゃなかった。死神だった。で、その死神がイケメン集団を連れて屯所の離れに連れてく最中に言ったのが、冒頭の一言。結構強めの口調だった。


『……お前…あのイケメンズ、もしもワールドから来た奴らだって言いてェのか』

『…確信持った疑問は確認にしかならんで。分かっとるんならわざわざ聞くなや』

『一言で終わらせれば済むことをまたエラくややこしい言い方したよコイツ。ていうか喜助の予想を全面的に信じる方向か?』

『何を考えてるかはっきりとはしないが…私の中に喜助の考えを疑う余地はないよ』

『…妬けるねェ。その信頼感』

『私は銀時も喜助と同じく信頼してるよ。こうしていつも一緒にいるのが証明になってると思うんだけど』

『え…?…ちょ、おま…今めっさ善いこと聞いたような気が…もう一回言ってくんない?』

『いやだ』

『私は銀時を愛してる、ってら辺からもう一回言って!!』

『物凄い捏造やな。どないなってんねん、その耳』


最後に至ってはツンデレ以外の何物でもないが、こんなやりとりもしたワケで。後の展開は知っての通り、名前の演説が延々と続いた。アイツの羽織りを被ったまんま。天人の技術が蔓延ってるこのご時世。確かに名前や喜助の言う通り、強力すぎる武器によって次元に穴が空いたと言われても信じられる。それが馬鹿な浪士共の偶然が生み出した産物だとしてもだ。
だから、イケメン集団がコッチに来たってのは納得がいった。でも、何でそれで俺の容姿を隠す必要があるんだ?その上、興味を持たれる前に帰れとも言ってきた。ワケ分かんねえ。え?そうだよ。でも結局大人しく帰って来たんだよ。んで今、万事屋の扉を引いたところだよ。


「あ。おかえんなサーイ、銀時サン♪」

「んー。ただいま」

「中村屋の苺大福あるんスけど食べますか?」

「お、マジで?食う食う。新八ィ、茶ー」

「はいはい。分かりましたよ。あ、喜助さん、夜一さん。お茶お代わりいりますか?」

「おう、貰おうかのう」

「アタシもお願いします」

「分かりました。ちょっと待ってて下さいね」


玄関入って、揃えて脱いである下駄の横にブーツを適当に放って、居間に入った俺を迎えたのは何時もの声…


「…じゃねェェエ!!なんでお前らいんのォ!?」

「そりゃあ、アナタに話があったからっスよ〜」


客間のソファーに新八と向かい合って座っていたのは数時間前に団子屋で分かれたばっかの喜助と、滅多に此処には来ない夜一。尸魂界じゃあこの組み合わせはよく見られたらしいが、こっちじゃあんま見ねェ。まぁ俺が見てる範囲ではって話だが。


「話?話ならさっきしたじゃねェか。団子屋でヅラと」

「しましたね。でも、屯所内である問題が起こった。…違いますか?」

「…なんで知ってるんだよ」

「屯所内には名前がおるからのう。情報はすぐに入って来るんじゃよ。あやつの無線からな」


ああ、アレね。
そう言えば耳のピアス無線に何回か触ってたな。と言うことは。


「そうっス。名前さんに銀時さんの羽織りは被らせたままに、という指示をしたのはアタシっス」

「………」


広げた扇子をヒラヒラさせながら言う喜助に何となくムカついたから、一発殴って向かいのソファーに座ると、まともに話してくれる夜一の方に話を振った。

「で?わざわざアンタまで来て、なんか大変なのか?異世界からのイケメン集団は」

「と言うよりその集団と吸血鬼もどきの関係じゃな」

「あー…ソレだよ、ソレ」

「なんじゃ?」

「何で吸血鬼もどきと異世界からのイケメン集団が繋がんだよ」


本当に冗談抜きで共通点がない。そりゃあ、名前と関係があるかも的な話はした。だが実際異世界イケメン集団に会ってみて、その関係は俺の中でかなり離れた。その距離を見事縮められる証拠があるってんなら言ってみやがれコノヤロー。そうやって心の中で吐き捨ててたら、喜助と夜一の顔が急に真剣な顔になった。


「…な、なんだよ」

「知りたいか?」

「……っ…」


そうだった。コイツらこういうのが出来るんだよな。空気を一気に別物にしちまう、殺気とも違う霊圧って厄介なヤツが。突如鋭くなった部屋の空気に俺の目も思わず細くなる。茶を盆に乗せたまま入り口で突っ立ってる新八も息を飲んだ。


「…ぎ、銀さん。なんかあったんですか?」

「んー話せば長いんだよなぁ…」

「ていうか…僕は聞いて大丈夫なんですか?」

「大丈夫っスよ。その代わり神楽さんには後で話しといて下サイね」

「あ、はい」


まぁ取り敢えず座って下さいと言われた新八がお茶を配り、俺の隣に落ち着いたのを確認すると、喜助は口を開いた。


「まずは新八さん。簡単に言ってしまえば、銀時さんは先程世にも奇妙なことに遭遇してきたんスよ」

「世にも奇妙なこと?」

「はい。新八さん達が今住んでいる世界とは別の世界から来た人達、しかも“新選組”の人達と会ったんです」

「……………」

「ツッコミどころ満載なお話だとは思いますが、今はただそれを頭に入れて僕らの話を聞いてくれますか?」


あまりにもツッコむところがありすぎて金魚のように口をパクパクさせてた新八を見て、喜助が笑いながらやんわりとそれを押し留めた。何とか言葉を飲み込み、無言で頷いた新八だが、恐らくコイツの中では今盛大なるツッコミ大会の幕が上がったことだろう。間違いない。


「さて、銀時。おぬしの質問に答えよう。確か何故おぬしもどきと新選組に繋がりがあるのか、じゃな?」

「確信してる疑問は確認にしかならない、だとよ。あんたの義娘からさっき聞いた言葉だ。分かってんなら早く言え。つーか俺もどきじゃねェよ」

「吸血鬼もどきも異世界から来たと考えてみればそう難しいことではないぞ」

「すげーな、堂々の無視かよ」


ていうかちょっと待て。コイツ今なんて言った。
今し方自分の耳に入ってきた言葉が頭の中で反芻された瞬間、湯呑みに伸ばした手が止まった。手はそのままに、湯呑みにあった目線を目の前の死神二人に向けると視界に映ったのは、世間話でもしてそうな平然とした顔だった。

























―なんか腹立つな―



(銀さん、声出てます。夜一さんの笑みが怖いです)
(気のせ…ぐふォオ!)
(銀時。まだ人間のままでいたいじゃろ?)
(…ばい。ずみばぜん)

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